以前にも情報提供をいただいた横浜市のSuさんからです。
Suさんはネットワークオーディオをはじめ、デジタルオーディオの音質向上に取り組んでおられます。
今回のご投稿は RaspberryPi に関するもので、改造方法にまで踏み込んだとても充実した内容になっています。
特にRasPiの改造に二の足を踏んでいる人には大いに参考になることと思います。
Suさん、ありがとうございます。
元記事はこちらです → 上級コース
: さらに RaspberryPi を改造してみましょう。
使用キットはこちらです → 改造
RaspberryPi 2B or 3B 専用ディスクリート・リニア電源キット(上級)
(2016.6)
横浜市のSuさんよりいただきました。
「RaspberryPi 2Bを改造してみました」
以前,ハブの改造について投稿させていただいたのですが,
機器内にあるスイッチングレギュレーターを取り外してみて,その問題点に気がつきました.
一年くらい前から取り組み始めた RaspberryPi 2B を使ったネットワークプレーヤーも,
何とかRasPi のスイッチングレギュレーターを外してリニア電源で駆動することができないかと考えるようになりました.
こんな形で Volumioを走らせて,なかなかの可能性を持っていると思っていました.
LED.Reg2(+) を使って,5Vの安定化電源を2基作り,
RasPi とDAC の電源を分離しただけで,かなりのレベルに達することが確認できました.
メーカー製のプレーヤーに十数万円投資してしまったことに疑問を感じました.
DAC はSABRE9018Q2Cを使ったもので,DAC にクロックが搭載されており,
マスターモードという,あまり一般的ではない動作をさせています.
これはDAC 側に搭載されたクロックに同期してRasPi からI2S 信号を送り出す方式です.
最近のお気に入りです.
そこへ横濱アリスさんから「改造 RaspberryPi 2B or 3B 専用ディスクリート・リニア電源キット(上級)」の発表がありました.
(中級)までの情報はWeb でも探せていたのですが,全部のレギュレーターを取り外すという荒技は見たことがありませんでした.
早速購入させていただき,試したところ呆れるくらいの効果でした.
とにかくクリアで繊細な音が聞き取れるようになります.
我が家ではこれほど綺麗なバイオリンの音が出たことはありませんでした.
別に雑音が聞こえていたわけではありませんが,何かに埋もれてしまっていた音が湧き出してくるかのようです.
音が落ち着くのに最低数時間は要りますね.1日経つと更に良くなります.
何ででしょう? 考え始めると頭が痛くなります.
音の消え入り方とか,音場の見渡しがとても良く,広々とした空間が見えるようです.
是非多くの方に試していただきたいと思います.
そこで,問題となるのはRasPi の改造です.
普通は引いてしまうであろう内容の改造ですが,やってみたら案外できるものなので,その情報を書いておきます.
アリスさんにお願いすれば改造してもらえますけど.
持っているコテとコテ先を並べて,部品の間に入るかどうか調べて,どんな順番でバラすか考えてから始めましょう.
大きなコイル・コンデンサをまず外した方が楽です.
特殊な工具があれば良いのでしょうが,手持ちはこれしかありません.
でもこれで何とかなります.20W クラスのコテが2本あれば大丈夫です.
コテ先はむやみに細いものではハンダがなかなか溶けず,部品が外しにくいです.
RasPi は何らかの方法で固定した方が良いです.基板だけだとコテを当てると動いてしまい作業が難しいです.
私はケースの底板に付けたままで作業しました.向きをクルクル変えられるので仕事がしやすいです.
適当な板に取り付けるのも良いでしょう.
基本的にはコテを2本同時に使うのです.
フェライトコアのコイルや大きなコンデンサは両側の端子を同時に熱して,コテで挟んで持ち上げるか,ずらせば簡単に外れます.
両側の端子にフラックスを塗って,新しいハンダを乗せ,コテの熱が伝わりやすくしてあげれば,より簡単に外せます.
様子が異なるのは二つのレギュレーターIC( U3とU16)です.
簡単なのは U16(青丸)で,パッケージがつるつるしていて堅く,熱伝導度が高いのか,
パッケージの上にハンダゴテを当てて熱しながら,ピンセットで横にずらすか持ち上げれば外れてしまいます.
難航したのはU3(赤丸)です.大きなコテ先で両側から暖めても外れず,
パッケージの上から,こりゃ危ないかなというくらい熱しても外れませんでした.
パッケージは熱伝導が悪く,裏には面積の大きな放熱パッドがあるので簡単には外れないです.
そこで,パッケージをカッターでゴリゴリ削ってダイと放熱パッドをむき出しにしました.
上の写真はその状態です.この状態からならコテを当てて数秒で外せます.
最初からパッケージを削れば良かった.orz
部品が全て取れたら,ハンダ吸い取り線を使って余分なハンダを取り除きましょう.
フラックス洗浄液で綺麗に拭いてできあがりです.
結構ハンダがブリッジしていました,必ず拡大鏡で確認しないと事故になります.
DC+5V の供給は,そばに過電圧防止用のダイオードがありましたので,そこへ供給することにしました.
近い場所へ4系統の電源供給ラインが集められます.
後はアリスさんが示して下さっているいるとおり配線しました.
マイクロUSB 端子のスリーブにグランドラインをハンダ付けする方法は強度も高くできて,とても良いと思います.
大きな板に電源とRasPi を乗せてみました.
奥にあるLED.Reg2(+) を使ったDAC 用電源は最初の写真の物が引越してきただけです.
まあ,この状態は普通に考えたらどうかしていますよね.
たかだか5千円のコンピューターに2万円以上の電源を奢るわけですし,その規模も異常と言えると思います.
でも,こんな事ができるのが自作の特権です.そして得られるものは大きいです.
メーカー製の中途半端なプレーヤーを買ってしまった事を後悔し始めました.多分出番はもう無いと思います.
これから,いろいろなDAC を試してみたいと思います.
それと,このコンピューターを使ってCDをリッピングしたらきっと良いでしょうね.
横濱アリスさんの挑戦と情報公開・キット供給に感謝いたします.
【追伸】
稼働から2日ほど経って冷静になり,素晴らしい音ながら気になるところもあるな,と思い始めたのです.
ふと目についたのがこれです.
DAC 用のLED.Reg2(+) なのですが,面倒なので電圧調整の可変抵抗器をそのまま使っていました.
それをアリスさんのお勧めのように固定抵抗に置き換えて驚きました.
音の違いがあまりにはっきり聞こえたからです.
どこかくすんだようであり,やや刺激感があったことがよく分かりました.
このフルリニア電源化したRasPi は結構厳しいですね.
システム全体のSN比が良くなるような効果があるので,何でもよく聞こえて・・・手を抜くとバレます.(^-^ゞ
(追記)
ご参考に,本キット内LED.Reg3のVR(L) とVR(R) は
下のLED.Reg2の写真と同じように " VR " と基板上に表記された白い四角の中に配置します.
基板裏のパターンを見れば分かりますが,キットはVR(L),VR(R) 各1本ですから上下にずらして配置すれば,
写真のように表でハンダ付けはしなくて済みます.
(以下、編者による記述)
小さな RaspberryPi にこれだけの電源を投入するのは一見バカげているようでもありますが、音質向上に実に効果があります。
電源回路はコストがかかりますが、その見返りは決して少なくはありません。
みんな、もっと電源やろーよぉぉぉぉおおおーー