アリスの可変定電圧ミニ・レギュレーター(miniReg2)の巻
【三端子レギュレーター互換】

 

アリス  「こんにちは、みみずく先生〜。」

みみずく 「やあ、アリス。」

アリス  「今日はあたし、いつに無く機嫌がいいんです♪」

みみずく 「ふむ、確かにそんな顔してるねえ。
      一応、何があったのか聴いたほうがいいのかな?」

アリス  「もちろんですよー。わかってるじゃないですか。」

みみずく 「んで?何があったんだい?」

アリス  「まぁ、ちょっとしたことなんですけど。
     以前に小型可変電源のminiReg(みにれぎゅ)を作ったじゃないですか?」

みみずく 「あぁ、覚えてるよ。」

アリス  「おかげさまで好評で、製作したロットがすべてお嫁に行きました〜。
     拍手〜ぱちぱち☆」

みみずく 「へぇ〜、使ってくれる人がいるんだ。良かったじゃないか。」

アリス  「ほんと、使ってもらえるのがとっても嬉しいです♪」

みみずく 「また作るのかい?」

アリス  「そう、そこのところを話しに来たの。」

みみずく 「ほぉ。」

アリス  「miniRegを使ってくれてる人たちの何人かに用途を教えてもらったんですけど、
     ほとんどの人が三端子レギュレーターの代替としてオーディオの改造に使ってるようなんです。」

みみずく 「ふむふむ。」

アリス  「もともと、miniRegは小型の可変電源として設計されていて、
     三端子レギュレーター互換機能はあったらいいなのオマケ機能だったんです。」

みみずく 「どうやら、そのオマケ機能がメインで使われているようだと。」

アリス  「そうなんです。しかも、miniRegは1W以下の発熱を想定しているので放熱フィンが取り付けられません。」

みみずく 「それじゃあ、差し換え用としては不便かもねぇ。」

アリス  「アンケートをとってみても、放熱フィンまで含めた三端子レギュレーターとの完全互換化と、
     高出力化の要望がありました。」

みみずく 「確かにその方が便利だろうな。
      三端子レギュレーターに形状まで完全互換でさらに出力電圧可変なら利用価値がありそうだしね。」

アリス  「他にはminiRegを三端子レギュレーターの換わりにマザー基板に実装してしまうと、
     調整ノブの位置の問題から電圧の調整操作がやりにくいよ〜、という意見も。」

みみずく 「なるほど。そいつはもっともだね。」

アリス  「と、いうわけで、新しい仕様を考えてみましたぁ〜。
     こんなカンジです。」

  ・三端子レギュレーター用の放熱フィンに取り付ける為のネジ穴を設ける。
  ・基板の幅をスリム化して実装の互換性を高める。
  ・TO-220サイズの大型トランジスターを使えるようにする。
  ・マザー基板へ実装した状態での操作性を向上させる。

みみずく 「要望は全て取り入れたわけだ。」

アリス  「そうなんです。でもスリム化のためにワイヤーホールと4箇所あったネジ穴を廃止にしなければなりません。
      ま、どのみち使わない機能でしょうけど。」

みみずく 「三端子レギュレーター互換用途に特化するというわけだね?」

アリス  「その方が結局は使いやすいのかなって。せっかくなので、いろんな人に使ってもらいたいですし。」

みみずく 「と、いうことは基板を新しく設計するつもりなんだね、アリス?」

アリス  「えへへ…、それなんですけど…。…ゴソゴソ…
     …じゃーん!!見てくださいー!!miniReg2(+)miniReg2(-)ですっ!」

みみずく 「おや、まあ、これはこれは。もうできあがってたのかい?」

アリス  「みみずく先生をびっくりさせようと思って、こっそり作ってみたんです。
      で、これが部品を実装したものです。」

  

アリス  「もちろん、放熱フィンに取り付けられます。」

    

みみずく 「ほぉ、いい出来じゃないか、アリス。
      最近、姿を見せないと思ったら、これを作っていたんだね。」

アリス  「えへへ…♪もっと褒めてくださいです。」

みみずく 「基板の発注はすっかり身についたみたいだね。いや良かった良かった。」

アリス  「今回もDRCがどうだとかややこしかったんですけど、何とか完成しました。」

みみずく 「あれ?miniRegには無かった部品が増えてるね?」

アリス  「さすが、みみずく先生。やはりお気付きになりました。
     これはV.Reg(ぶいれぎゅ)で採用していたバイパス位相補償コンデンサーです。
     高性能化のためスペースをやりくりして搭載してみました。」

みみずく 「いろいろと進化してるなー。ずいぶん頑張ったじゃないか。」

アリス  「と、いうわけで、名前は
     『三端子レギュレーター互換・可変定電圧レギュレーター【miniReg2】』でーす。
     ひねりは無いですが。」

みみずく 「再製作おめでとう、といったところかな。」

アリス  「はい。ありがとうございます。私もいろいろに使ってみたいと思います。
     そこで、実はみみずく先生にご相談が。」

みみずく 「いいよ。なんだい?」

アリス  「実は採用するトランジスターの選定をどうしたらよいかと…。アドバイスいただけないでしょうか?」

みみずく 「うーん、そうだなあ…。オーディオの改造がメイン用途なんだよなあ…。
      そうすると、電流の用途ごとに分けると選択肢はこんな感じかな。
      あ、ちなみに現行品に限定してるよ。」

(小信号用トランジスター)
東芝
2sc1815/2sa1015
2sc2229/2sa949
2sc2240/2sa970
2sc2705/2sa1145
2sc2120/2sa950:奨励0.1A:最大0.8A

三洋
2sc2909/2sa1207
2sc2910/2sa1208
2sc3068/2sa1435
2sc3114/2sa1246
2sc3135/2sa1253
2sc3383/2sa1392
2sc3708/2sa1450
2sc4414/2sa1683

(パワートランジスター)
東芝
2sc3421/2sa1358:奨励0.3A:最大1A
2sc3422/2sa1359:奨励1A:最大3A
2sc3710/2sa1452:奨励3A:最大12A
2sc4881/2sa1931:奨励2A:最大5A
2sc4935/2sa1869:奨励1A:最大3A
2sc5171/2sa1930:奨励0.5A:最大2A

三洋
2sc3117/2sa1249:奨励0.5A:最大1.5A
2sc6101/2sa2196:奨励1A:最大5A
2sc6102/2sa2197:奨励2.5A:最大7A
2sc3902/2sa1507:奨励0.3A:最大1.5A
2sc5611/2sa2023:奨励2A:最大5A
2sc5694/2sa2037:奨励2.5A:最大7A
2sc3253/2sa1289:奨励1A:最大5A
2sc3254/2sa1290:奨励2A:最大7A
2sc3255/2sa1291:奨励3A:最大10A


アリス  「けっこうありますね。選ぶのが大変です。」

みみずく 「実際には現行品だからといっても入手が難しい場合があるけどね。
      私も全部は試してない。」

アリス  「トランジスターを選ぶコツってあるんですか?」

みみずく 「そうだね…、傾向としては耐圧が低いトランジスターの方が音が良いことが多いかな…。」

アリス  「メモメモっと…。」

みみずく 「Cobが小さいトランジスターの方が音が鮮烈な傾向があるかな…。」

アリス  「なるほど、なるほど。」

みみずく 「許容電流も出来るだけ少ないほうがいいかな…。」

アリス  「そうなんですかー。」

みみずく 「直流電流増幅率の電流依存性も音には関係があるような…。」

アリス  「なんだかハナシがボヤけてきました。」

みみずく 「うーん、つまらない結論で申し訳ないが、結局は聴いてみないとわからないんだよ。
      データーシートで大体のねらいをつけるんだけど、期待通りの音がしないことも多いんでね。
      逆に期待してなかったスイッチング用のトランジスターが魅力的な音を出すこともある。」

アリス  「トランジスター選びの秘訣が聞けるかと思ったのにぃ。」

みみずく 「データシートはとても重要なものだけど、スナップ写真みたいなものだから、
      トランジスターの一面しか表せないってことは覚えておいてもいいかもよ。」

アリス  「このリストの中にひとまずオススメってありますか?」

みみずく 「小信号用では2sc1815/2sa1015、2sc2240/2sa970、2sc3383/2sa1392
      パワートランジスターでは2sc3421/2sa1358、2sc3422/2sa1359、2sc5171/2sa1930、2sc4935/2sa1869
      あたりがいいんじゃないのかな。」

アリス  「わかりました。まずはそれを試してみることにします。」

みみずく 「今日はこんなところかな?」

アリス  「はい、ありがとうございまーす。」

 

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