Tripath(トライパス) TA2020-020初段直結化 DCアンプ・スペシャル キット

※入力のカップリングコンデンサーを排除し、入力から出力まで直結化されたDCアンプになってます。

製作マニュアル(組立てと調整) その2

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【組立ての方法】

電源の組立てと通電テストが済んだら、アンプ本体の組立てへと進みます。

基本的には、背の低い部品から取り付けるというセオリーに従います。

NFBモードの組立てはパーツリストに従いながら、

抵抗 ⇒ ダイオード ⇒ 半固定抵抗 ⇒ ジャンパーポスト ⇒ フィルムコンデンサー
  ⇒ 端子台 ⇒ トランジスター・FET ⇒ IC ⇒ 電解コンデンサー ⇒ インダクター ⇒ リレー

と進めていけば完成します。
「BASS BOOST」を使用しない場合はジャンパーピンでショートさせておきます。

この段階で間違えると、完成後の発見・修正は大変に困難です。
充分に余裕を持って、ゆっくり丁寧に作業してください。

【non−NFBモードでの組立て例】

ここでは、non−NFBモードの組立てを例に説明します。

non−NFBモードでは以下の一部の部品を実装しません

  抵抗器:R16、R27、R43、R46、R48、R53
  半固定抵抗器:VR1B、VR2B
  ジャンパーポスト:CK1A、CK2A、BASS-BOOST×2

また、部品番号のついていない抵抗器 4.7kΩ を2本使います。

抵抗器、半固定抵抗器、ダイオード、SBD、フィルムコンデンサー、ジャンパーポストを実装し終わったところです。
CK1ACK2Aの部分に4.7kΩが実装されています。
 

ジャンパーポスト「FAULT」には特に理由がない限り、「ON」にジャンパーピンを接続しておきます。
これはトライパスの過電流保護機能からの自動復帰を有効にするものです。
 

トランジスターとFET、NJM072Dを実装しました。
 

Tripath(トライパス) TA2020-020 と電解コンデンサーを実装しました。
 

端子台、トロイダル・インダクター、リレースイッチを実装してnon−NFBモードの完成です。
 


【通電テスト】

本体基板とケミコンボード、電源ユニットを下図のように結線します。アリスのケミコンボードCB−36についてはコチラ
 

これから通電テストを行いますが、注意点があります。

 ※通電テスト中は顔を近づけてはならない。

電解コンデンサーの実装ミスがあると、通電後、破裂して電解液や破片が飛散することがあります。
保護メガネやゴーグルを着用できればベストでしょう。

さあ、いよいよ通電です。
通電したら異常が発生していないか観察します。

・LEDは点灯したか?

・各部が熱くないか?

・煙が出ていないか?

・変なニオイがしないか?(実は、異常の早期発見には最も有効だったりします。)

・熱で変色してゆくパーツがないか?

異常がなければひとまず大丈夫です。
運がよければ(?)通電後10秒前後でリレースイッチの「カチッ…カチッ…」という作動音がします。
作動音がしなくても、実装ミスがなければ、調整がずれているだけの可能性が高いです。


【調整作業】

調整作業はnon−NFBモードとNFBモードとでは異なります。
まだ、入力(IN1、IN2)と出力(OUT1、OUT2)には何も繋がないでください。
調整が出来ない場合はどこかに異常があることが考えられます。
電源を切って確認作業を行ってください。

  @non−NFBモード
   調整箇所は2箇所です。
   調整中はオフセット変動の影響でリレースイッチが断続的に作動する場合があります。

   ・VR1A、VR2Aの調整
    FET差動回路のドレイン間電圧のトリムバランスを調整します。

 CK1Bの電圧が小さくなるようにVR1Aを調整します。(クリックで拡大)
 赤いジャンパーピンは無いものとしてください。目標は10mV以内
 

 CK2Bの電圧が小さくなるようにVR2Aを調整します。
 赤いジャンパーピンは無いものとしてください。目標は10mV以内
 

 

  ANFBモード
   調整箇所は4箇所です。
   調整中はオフセット変動の影響でリレースイッチが断続的に作動する場合があります。

   ・VR1A、VR2Aの調整
    FET差動回路のドレイン間電圧のトリムバランスを調整します。

   ・VR1B、VR2Bの調整
    レベルシフト回路の調整を行います。調整難易度は高めです。
    この調整はDCサーボと干渉しあうため、VR操作はゆっくりと行うことがコツです。
    VRの操作が激しすぎると大きな低周波振動が誘起される場合があります。
    その場合はいったん電源を切り、LEDが消灯するのを待ってから通電しなおしてください。

  ●調整の手順
   NFBモードは各所に温度ドリフトの影響が出るため、時間をかけて調整点を見極める必要があります。
   調整は次の手順で行ってください。

   ・VR1A調整 ⇒ VR1B調整 ⇒ 通電状態で数時間放置 ⇒ VR1B調整 ⇒ VR1A調整

   ・VR2A調整 ⇒ VR2B調整 ⇒ 通電状態で数時間放置 ⇒ VR2B調整 ⇒ VR2A調整

 CK1Aをジャンパーピンでショートして、CK1Bの電圧が小さくなるようにVR1Aを調整します。
 目標は±30mV以内。1回目の測定はおよそ±100mVあれば大丈夫です。
 

 CK2Aをジャンパーピンでショートして、CK2Bの電圧が小さくなるようにVR2Aを調整します。
 目標は±30mV以内。1回目の測定はおよそ±100mVあれば大丈夫です。
 

 CK1Aのジャンパーピンを外し、CK1Aの右側が0Vに近づくように調整します。
 通電直後1回目の調整は−80〜−50mVくらいが良いようです。
 目標は−10〜0mVに収めること。ゆっくりと動かします。
 

 CK2Aのジャンパーピンを外し、CK2Aの左側が0Vに近づくように調整します。
 通電直後1回目の調整は−80〜−50mVくらいが良いようです。
 目標は−10〜0mVに収めること。ゆっくりと動かします。
 

 

調整が完了したらいったん電源を切り、LEDが消灯してから再度通電します。
しばらくしてリレースイッチの「カチッ…カチッ」という作動音が聞こえたら調整完了です。

お疲れ様でした。

完成おめでとうございます。


 

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