システム テスト コーナー
プリアンプと電源をいろんなオペアンプで試聴
アリス 「キットを組み合わせてプリアンプをビルドアップしてみました。
このプリアンプを使ってオペアンプによる違いなどテストしてみたいと思います。
以下が今回組んだテスト用プリアンプです。
ケースの加工が面倒だったので100均で買ってきた杉板に直接固定しています。
レギュレーターとトランジスターはソケットで抜き差しできるようにしています。」
※新型プリアンプ基板 ALP−mkII はこちら。
アリス 「AL−SDFのチューンには“花セット(100W)”を、
ALP−1(バージョンはv3)のセッティングはプリアンプ、抵抗器にはLMFQを使用しました。
電源トランスは手持ちにあったトロイダルトランスの70045(22V10VA)です。
UBR−1はフリーコネクト部にインダクターを使用したLCフィルターのセッティングで正負両電源としました。」
【レギュレーターによる違い】
アリス 「まずはALP−1に載せるオンボードレギュレーターを交換して違いを試してみます。」
《固定条件》
・ALP−1のオペアンプ:OPA134
●レギュレーター:miniReg2(non-NFBモード)
聴き疲れのしない、しなやかで安心感のある音。
突き刺さるような音はしない。
●レギュレーター:opeReg(OPA134を搭載)
輪郭がはっきりとした、大変解像度が高い音。
ローノイズで見通しが良い。
●レギュレーター:LED.Reg(キット部品そのまま)
緻密な描写をもつ、とてもスケール感の大きな音。
奥行きとともに情動を感じさせる音が心地よい。
【オペアンプの試聴】
アリス 「ここでもオペアンプの試聴(@〜N)をしていますが、さらに追加します。
以下、ALP−1のオペアンプを交換しながら前回と同じ条件で試聴します。」
《固定条件》
・ALP−1のレギュレーター:miniReg2(non-NFBモード)
16.NE5534P(バイポーラ 1回路)
NJM5534と同様優秀なオペアンプでOPA134のように高性能でかつ安心して使えるオペアンプだと思います。
NJMと似た傾向の音ですがあえて比較すると、ややまろやかで悪く言えば腰が弱いです。
贔屓目に見ればこちらの方がやや上品な音と言えなくもありません。
メーカーが違うと音も違うんですね。
17.OPA177(バイポーラ 1回路)
やや線が細いところがありますが緻密で優しげな音を聴かせてくれます。
中高域にトロッとした特有の上質感があります。
ハープやガットギターなんて聴くとなかなか魅力があります。
工業用のスタンダードICですが充分使えますね。
18.OPA277(バイポーラ 1回路)
OP177、OPA177のリプレース品として作られてるせいか音の傾向は似ています。
音の存在感についてはわずかにぬるいような気がしないでもありません。
中高域にほんのり色気のある音をしています。
19.LF411(J−FET 1回路)
甘く広がりのある中域が魅力。優しさのある音。響きというかライブ感があることも長所でしょう。
それが裏目にでると音にややしまりが無いと感じることがあるかもしれません。
そこそこにハリや量感もあり良い音と評価できる音質です。
20.UA741(バイポーラ 1回路)
オリジナルのμA741は元祖オペアンプとも言えるほどの古典的なオペアンプです。敬意を表して特別出演です。
しかし、さすがにいまだ現役。立派に勤めを果たします。
解像度や音ヌケは高速型に一歩譲りますが、全体に音のバランスがよく音の広がりも感じます。
そっけない音ではなく、ちゃんと情感を感じられる音質です。
21.CA3140(Bi-MOS 1回路)
MOSFET型のオペアンプを試してみたくて入手しました。
結論から言うと、オーディオ用にはうーん…と言う感じです。
全体に音が弱く感じられます。しかし繊細なわけでもありません。
なんとなく時折感じるモワっとした中域がどうもすっきりしません。
22.AD711(Bi-FET 1回路)
繊細で丁寧な描写力があります。余韻の表現も得意なようです。
音の輪郭がはっきりしておりパワーもあるのですがガサツなところが全く無いように感じます。
個性的ですが、バランスの良い高性能オペアンプといった印象です。
さっぱりと乾いたやや涼しげな音。これも良いです。気に入りました。
23.AD845(CB-FET 1回路)
個性と言う点では説明が難しいですが、とても高次元のバランスでまとまっているオペアンプ。
あらゆる能力が高く豊かな音がします、特に欠点らしい欠点もほとんど皆無です。
ニュートラルな音調なので特徴の把握が難しいですが、とても優秀なオペアンプです。
多くのジャンルの曲を長時間聴くようなときには大活躍しそうです。これもイチオシ。
【opeRegの試聴】
アリス 「定電圧レギュレーターのopeRegは、出力電圧のコントロールにオペアンプを使っています。
opeRegのオペアンプを交換して音質の変化を確認してみます。
使用するオペアンプは全て1回路モデルです。」
《固定条件》
・ALP−1のオペアンプ:OPA134
1.OPA134(J-FET 1回路)
解像度も高く、周波数特性も優秀で音楽的にも高レベルな音。
やはり安心して使えるオペアンプです。
以下、この音を判定基準にします。
2.OPA604(J-FET 1回路)
情感豊かで彩度の高い音がします。
音の輪郭に少し柔らかさがありますがこれは好感が持てる質です。
楽しく音楽を聴ける音を持っています。
3.NJM5534D(バイポーラ 1回路)
描写力の高い音質です。暗部表現に優れている印象です。
高速バイポーラ特有の音質なのでしょうか、何ともいえない味があります。
ほのかにノスタルジックですてきな音です。気に入りました。
3+.NJM5534DD(バイポーラ 1回路)
上記のローノイズモデルです。どのくらいの違いがあるかなー?
と、期待半分だったんですが、元に戻れないくらいの違いがあります。
一言でいうと、なめらかで丁寧になります。これは良いです。
4.NE5534P(バイポーラ 1回路)
これもいいですね。やはり特有の味があります。
NJMと比べて東欧の秋風(?)のような風情のある音質です。
慰めるような、励ますような、しんみり、じっくりと聴かせてくれます。
5.OPA177(バイポーラ 1回路)
上質で柔らかく心地よい音がします。優しく美しい音質です。
低速型のオペアンプなので電源の制御には向かないかも?と思っていたんですが、
オーディオ的には大丈夫なようです。高域も美しいです。
6.OPA277(バイポーラ 1回路)
滑らかで柔らかな音質です。やはりOPA177と似ていますが微妙に異なります。
こちらの方が訴求力で少し劣るように感じます。
工業用の標準品ですがOPA177同様、充分に使えます。
7.LF411(J−FET 1回路)
柔らかな音調とあわせてFET特有の切れ味もあります。
特徴や魅力、個性ではこれを上回るオペアンプが他にあるので、
音はそれなりに良いと思うのですが今回は立ち位置が微妙な印象です。
8.UA741(バイポーラ 1回路)
旧い古典的なオペアンプだしどうかな?と思ってたんですが、
意外にもしっかりとした芯のある音を聴かせてくれます。
中域の表現力が充実した音質です。これはこれで良いです。
9.CA3140(Bi-MOS 1回路)
音響用としてはイマイチでしたが電源では打って変わったように実力を発揮します。
微細な表現力に大変優れているようで、音の細やかな表情をよく描き出します。
やや中域が締りなく膨らみますがメリットを考えれば許容範囲です。
10.LM7171(バイポーラ? 1回路)
高域の高純度な表現力が魅力。高純度純水のような音。
キメの細かさによって滑らかに感じるという、超高速型オペアンプの特徴が良く出ていると思います。
高性能ゆえに音を余すことなく描き出すせいか、とても正確な音、という印象です。
11.AD711(Bi-FET 1回路)
一音一音、丁寧に情感を込めたような描写をします。
音の輪郭も整っており低音から高音まではっきりと描き出します。
やや硬質な空間に力強い音が流れます。いいですね。
12.AD845(CB-FET 1回路)
キメが細かく繊細な描写と広い空間表現が魅力です。
全体としてはニュートラルでとても自然です。特に癖の無い音です。
優秀で欠点が無いという印象です。いい音なのですが何とも表現が難しいです。
13.OPA627(J-FET 1回路)
実はOPA627はすでに手放しておりましてテストできないんです。(高くて買えないし)
というわけで、使ってみた方のお話を聞いてみました。
それによると、opeRegに使った場合には、どうやら非常に良好な空間表現力を得られるようです。
お話からすると音響回路よりも電源回路で使用したほうが威力を発揮できそうな感触です。
アリス 「音響回路と電源回路では同じオペアンプでも音の印象が異なる場合も多いようです。
つまり、適任も異なる訳ですね。
電源用は高速型が有利かと思っていたんですが、実際はそう単純でもありませんでした。
特に電源用のオペアンプは、品種によって音の表情が大きく変ります。
いろいろ実験してみると面白いと思います。
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