Alice In Underground (アリス・イン・アンダーグラウンド)

〜アリスの地下研究室〜

 


 

【 リニアレギュレーターマザーボード (RM-1) 】

アリス 「RM−1はリニアレギュレーター『アリスのRegシリーズ』の能力を引き出すためのマザーボードです。
     アリスのRegシリーズとあわせて使うことで、
     高音質、高出力、高信頼性のリニア電源を手間をかけずに簡単に構築することが出来ます。

     アリスのRegシリーズをRM−1にコネクターでスナップオンして、コントローラーとして使うと、
     電源のチューニング作業の効率がとても良くなります。
     その為、お使いの機材やシステムにあわせた高音質なカスタムリニア電源の実現が容易です。

・高音質なリニアレギュレーター 『 アリスのRegシリーズ 』 を搭載
・パワートランジスターとリニアレギュレーターの分離実装が可能。放熱能力が大幅に向上。
・放熱能力8W前後の放熱器の実装可能。それ以上の発熱には外部放熱器で対応可能。
・冷却能力も高い基板。
・銅箔厚70μmの高級基板を使用。最大定格電流10A。箔厚は量産品で14μm、試作品で35μmが一般標準。
・パターンギャップ(プリント配線間の絶縁距離)は0.5mm。
・電流制限機構GaDeK(ガデック)に対応、過電流破壊からレギュレーターを保護
(GaDeK対応はLED.Reg3
・GaDeK非対応のレギュレーターでもパワーサーミスタやポリスイッチの使用で電流制御が可能

※リニアレギュレーターについてはこちらも参考に アリスの電源マニアックス


アリス 「RM−1は次のように接続して使います。
     RM−1は突入電流や過電流による破壊からレギュレーターを保護できるので、
     高品質なリニアレギュレーターを製作するためのベースとして大変応用がききます。
     安全なオリジナルのリニア電源アダプターを自作することも容易に可能でしょう。」


アリス 「正電源用のRM−1pと負電源用のRM−1nがあるんですけど、
     需要の関係からRM−1pを先に製作しました。

     


(パーツについて)

部品番号
部 品 名 称
備      考

Q1

NPNトランジスター 小信号用で入力電圧以上の耐圧のもの
Q2
PNPトランジスター 小信号用で入力電圧以上の耐圧のもの
D
LED 動作確認用パイロットランプ、φ5o
R1
「 各種セッティングについて 」 参照
R2
10kR 汎用抵抗器
R3
10kR 汎用抵抗器
R4
N/A
調整用抵抗器、通常は実装しない
C1-3
入力コンデンサー φ10の電解コンデンサー
C4-6
出力コンデンサー φ10の電解コンデンサー
C7
0.1μF フィルムコンデンサー
C8
0.1μF フィルムコンデンサー
NTC

パワーサーミスタ
ポリスイッチ など

パワーサーミスタで突入電流制限、ポリスイッチで過電流制限を行える。
使用しない場合は配線材で直結。
JP
ジャンパースイッチ 放熱器を基板のグランドにつなぐジャンパー。
繋いでも繋がなくてもどちらでも良い。
FG
ジャンパースイッチ 基板のグランドと固定用ホールをつなぐジャンパー。基板のグランドをシャーシーグランドへ接続するときに使う。つながなくても良い。
+IN
−OUT
入出力端子 金メッキネジ止め端子やターミナルブロックを使用できる。

(各種セッティングについて)

アリス 「目的にあわせた高音質なリニア電源をつくるためには、パワートランジスターの選定はとても重要なことです。
     音質面では、トランジスターは決して大が小を兼ねるようなことは無いので、
     目的のために充分な能力を持っていながらも、必要以上に大きなトランジスターを選ばないように注意しましょう。

     コツとしては必要な消費電流のおよそ3倍の最大コレクタ―電流のトランジスターを選ぶとよいでしょう。
     最大コレクタ電流の限界付近では、トランジスターの電流増幅率が減少し能力が低下するからです。
     詳しくはトランジスターのデータシートを読んでください。

     耐圧についても必要以上の余裕を確保することにメリットはありませんが、どちらかというと、
     パワートランジスターは電流値の方を重視して選んだほうが良い結果になることが多いです。

     トランジスターの発熱量(W)は ドロップ電圧 × 出力電流 で概算できます。
     発熱量が放熱器の能力を超えないように考慮します。
     使用できる放熱器にはAB型(7.7W)とC型(8.9W)があります。
     それ以上の発熱に対応するには、さらに大型の放熱器やケースやシャーシーなどにパワートランジスターを固定する必要があります。

     RM−1に搭載されているGaDeK(ガデック)という電流制限機構は
     パワートランジスターの過電流破壊を防止するためのものです。
     ですから、選定したパワートランジスターにあわせてセッティングをします。

     適切にセッティングすれば、GaDeKによる保護は出力の一時的な短絡にも有効に機能します。

     GaDeKによる過電流保護が作動している時はパワートランジスターが発熱しますので、
     あくまでも破壊回避のための一時的な機能だということを理解する必要があります。
     異常を察知したら電源を遮断して、状況を分析しなければなりません。

     異常に気付かずに出力が長時間短絡されたままになるとパワートランジスターが焼損する可能性もあります。
     GaDekは信頼できる保護システムですがヒューズの代わりではありません。

     この注意事項は、過電流保護を内蔵した汎用のレギュレーターICに於いても同様です。
     いずれにしても、電源システムの安全確保のためにはレギュレーターの安全装置だけではなく、
     ヒューズと2段構えにしたほうが信頼性の観点からも望ましいでしょう。
     市販製品もそのようになっています。」

 

パワートランジスター(Q)とR1のセッティング
※最大コレクタ―電流の制限については各トランジスターのデータシートを参照してください。

RM-1で出力可能な
最大常用電流の値
(奨励値)
Qに使用するパワトラの
最大コレクター電流
(各データーシート参照)
R1の抵抗値
R1備考
17mA 以下
50mA 以上
15Ω
33mA 以下
100mA 以上
7.5Ω
50mA 以下
150mA 以上
4.7Ω
330mA 以下
1A 以上
0.75Ω
1W以上
1A 以下
3A 以上
0.24Ω
2W以上
2A 以下
6A 以上
0.12Ω
3W以上
3.3A 以下
10A 以上
75mΩ
0.15Ω3W以上を2本並列
5A 以下
15A 以上
50mΩ
0.1Ω5W以上を2本並列

(実装形態について)

アリス 「RM−1は自由度の高い基板として作ったので、少々複雑なところがあります。
     ここではリニアレギュレーター、パワートランジスター、放熱器の実装形態について説明します。

     実装形態は次のようになります。」

・A1種実装
  アリスのRegシリーズにパワトラを一体実装して使うときの形態。発熱量5Wまで

・A2種実装
  GaDeK対応のレギュレーターにパワトラを一体実装して使うときの形態。発熱量5Wまで

・B種実装
  GaDeK対応のレギュレーターとパワトラを分離実装するときのコンパクトな形態。発熱量7.7Wまで

・C1種/C2種実装
  GaDeK対応のレギュレーターとパワトラを分離実装するときの少し大きな形態。発熱量8.9Wまで

・D1種/D2種実装
  GaDeK対応のレギュレーターとパワトラを分離実装。パワトラは外部放熱器を使用する。発熱量数十Wまで 


(A1種実装)
  すべてのリニアレギュレーターを使うことができる。放熱器AB型を使用する。
  レギュレーターは放熱器に直接取り付ける。
  GaDeKは機能しない。LED.Reg2はレギュレーター本体の電流制限機構を使用可能。
  各レギュレーターのマニュアルどおりに組み立て、RM−1に実装する。
  レギュレーターの発熱量はおよそ5Wまでが目安。

実装部位


(A2種実装)
  GaDeK対応のリニアレギュレーターを使用する形態。放熱器AB型(高さ30mm)を使用する。
  パワートランジスターはレギュレーター基板上に実装する。
  レギュレーターに取り付けるL字ピンヘッダには1×4ピンのものを使う。
  レギュレーターの発熱量はおよそ5Wまでが目安。

実装部位
  

リニアレギュレーターのピンヘッダ
  


(B種実装)
  GaDeK対応のリニアレギュレーターを使用する形態。放熱器AB型(高さ30mm)を使用する。
  パワートランジスターはRM−1に実装し、レギュレーター基板には実装しない。
  リニアレギュレーターのピンヘッダに加工が必要。(ピンを1本抜く)
  パワートランジスターの冷却能力を高めつつ、レギュレーターの温度上昇を抑えることができる。
  パワートランジスターの実装はTO-126とTO-220パッケージに対応。
  TO-126とTO-220は実装の向きが異なることに注意。
  能力が高い割にコンパクトに仕上がる。
  レギュレーターの発熱量はおよそ7.7Wまでが目安。

実装部位
  

TO−126は裏向きに、TO−220は表向きに実装
  

リニアレギュレーターのピンヘッダ、裏から取り付け、L字2列x4のピンを1本抜いて使用する
  


(C1種実装)
  GaDeK対応のリニアレギュレーターを使用する形態。放熱器C型(高さ50mm)を使用する。
  パワートランジスターはRM−1に実装し、レギュレーター基板には実装しない。
  リニアレギュレーターのピンヘッダに加工が必要。(ピンを1本抜く)
  パワートランジスターの冷却能力を更に高めつつ、レギュレーターの温度上昇を抑えることができる。
  パワートランジスターの実装はTO-126、TO-220、TO-3Pパッケージに対応。
  但し、TO-3Pには小型と大型がある。TO-3Pの大型は放熱器にネジ穴の加工が必要になる。
  裏面が金属製パッケージのトランジスターは取り付けに絶縁シートを使うこと。
  TO-126は実装の向きに注意。裏返しにつける。
  下記画像のようにQB,QC,QEを配線材で接続して使用する。QCとQEは太めの配線材で。
  配線材には絶縁被覆されたものを使用すること。リード線などの裸配線材は不可。
  レギュレーターの発熱量はおよそ8.9Wまでが目安。

実装部位
  

リニアレギュレーターのピンヘッダ、表から取り付け、L字2列x4のピンを1本抜いて使用する
  

左がTO-3Pの小型種でネジ穴までの高さは19mm以内、右のTO-3P大型種は放熱器にネジ穴の追加加工が必要。


(C2種実装)
  C1種実装とほぼ同じ。
  リニアレギュレーターのピンヘッダの実装が異なる。
  レギュレーターのピンヘッダはB種実装と同じになる。

実装部位
  

リニアレギュレーターのピンヘッダ、裏から取り付け、L字2列x4のピンを1本抜いて使用する
  


(D1種実装/D2種実装)
   C種実装とほぼ同じだが、パワートランジスターは外部の放熱器かケースに取り付ける形態。
   QB,QC,QEを配線材で接続して使用するのはC種と同じ。
   取り付け対象の放熱能力が高ければ数十Wの発熱にも耐えられる。
   高出力リニア電源向け。

D1種実装(C1種の変形)、ピンヘッダはレギュレーターの表から取り付ける
  

D2種実装(C2種の変形)、ピンヘッダはレギュレーターの裏から取り付ける
  


(実装例)

この例はC1種実装です。
  

 


 

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