アリスのディスクリート可変定電圧レギュレーター (LED.Reg3)

(三端子レギュレーター互換 LEDレギュレーター)

製作マニュアル




 
※レギュレーターについてはこちらも参考にしてください。

   アリスの電源マニアックス


【キットのあらまし】

アリス  「LED.Reg3は 『アリスのRegシリーズ』 準拠のリニアレギュレーターです。
      ICを一切使わない高音質のフルディスクリート・リニアレギュレーターで、出力電圧を任意に可変できます。
      他のアリスのRegシリーズと同様に三端子レギュレーターと互換的に使うことができます。
      LED.Reg3は10V以上の出力電圧での能力が従来型よりも向上しています。

      また、LED.Reg3はGaDeK(ガデック)という過電流保護機構に対応していて、
      GaDeK対応のマザーボードRM−1に実装することで、信頼性の高い過電流保護機能を使用することができます。
      RM−1を使うことでパワートランジスターとレギュレーターを分離実装できるので、
      消費電流数Aの電源においてコア回路の発熱を避けることができ、性能の安定性が良くなります。

      GaDeKを使わない場合は、他の 『 アリスのRegシリーズ 』 と同様に単体でリニアレギュレーターとして使うことができます。」

みみずく 「過電流保護は不意の事故によるレギュレーター破損を防止するので、汎用性を高めるためにはとても有効。
      ただ、過電流保護機構はレギュレーターの音質を悪化させる大きな要因でもあるので、
      どのような回路・デバイスで必要な機能を実現するのか、ということは非常にセンシティブな問題になってくる。
      その点でGaDeKのシステムは合格点だろう。」

アリス  「GaDekを使用したときは、出力を繰り返しショートさせてもレギュレーターが破損しないだけの信頼性もありますし、
      より無頓着に安心して使える汎用性の高いリニア電源システムを構築できると思います。」
      ※LED.Reg3単独では過電流保護無しのリニアレギュレーターとなります。

みみずく 「ローカルレギュレーターやオンボードレギュレーターなどの組み込み電源として、
      しっかり最適化した設計をすると過電流保護なんか無用の長物なんだけど、
      仮組みのバラック状態で実験しているときや、付け外しをする電源アダプターのような外部電源として使うときには、
      過電流保護があると不測の事故から救われることがある。
      特にLED.Reg3のような高音質で3〜5A程度の消費電流のリニア電源にしっかりとした過電流保護があると、とても利用価値がある。」
      ※LED.Reg3をRM−1に実装して使用した場合。

アリス  「そういえば、実験中や試作中の破損事故って多いですよねー。」

みみずく 「そうそう。この前も、ついうっかり調整用のドライバーを取り落としてしまい、出力の電極に接触させてしまった。
      あっ、しまった、と思った瞬間に音もなく壊れている。
      まぁ、こういう場合はおとなしくパワートランジスターを交換すれば、ほとんどの場合は復旧するんだけど、
      面倒であることに変わりはない。それにモチベーションも下がるし辛いだろ?」

アリス  「まったくです。過電流保護は精神衛生も護ってくれるということですね。」

みみずく 「あくまで保険だがね。大前提として、過電流保護が必要無いように電源システムを設計することが肝要。
      とは言え、何かあっても壊れないという安心感はやはり大きい。」


    

【キット同梱パーツについて】

アリス  「LED.Reg3(+)にはパーツ一式がセットになったキットがあります。
      付属パーツによる耐圧は50Vです。
      基板のみでも頒布可能です。
      ご注文についてはオーダーについてをご覧ください。」

●正電源用 : LED.Reg3(+)

基板(幅20.5o×高さ32.7o) … 1枚
BJT … 2個
J−FET … 1個
ダイオード … 2個
LED(赤) … 4個
フィルムコンデンサー … 1個
半固定抵抗器 … 1個
L字ピンヘッダ1列4ピン … 1個
L字ピンヘッダ2列8ピン … 1個

(補足)
・要別途NPNパワートランジスター。
・必要に応じて抵抗器を入手してください。無くても可。
・GaDeKを使う場合はマザーボードRM−1pが必要です。


【定格などについて】

 ・最大定格電圧(入力電圧の制限)は、キット付属パーツで50Vまで。
  それ以上の電圧での使用はパーツ交換をすれば可能ですがアドバイスは致しませんので各自でご判断ください。
  基板の最少パターンギャップは0.5oです。

 ・キットパーツは3Vから45V程度までの出力電圧に適しているでしょう。

 ・パワートランジスター(Q1)は必要な出力電流のおよそ3倍くらいの最大コレクタ電流のものを選ぶのがコツです。

 ・ドロップ電圧は最低でも2.5Vは必要です。出来れば3〜5Vを奨励します。

アリス  「以上は大まかな目安です。
      定格電圧はパワートランジスター(Q1)の品種によっても制限が変わります。(2SC3422などは40Vになる)

      最大発熱量は出力トランジスターによって限界値が異なります。
      使用するトランジスターのデータシートで最大コレクタ損失(≒限界値)について確認してください。

      発熱量はレギュレーターでの ドロップ電圧 × 出力電流 になります。
      ドロップ電圧とは入力電圧と出力電圧の差のことです。

     ・最大発熱量はトランジスターQ1の最大コレクタ損失の半分から2/3以下が良いでしょう。

     ・経験的にはLED.Reg3単体で使う場合には放熱無しで最大発熱量1Wまで
      小型放熱器有りで3Wまでにしておいたほうが良いでしょう。
      それ以上の発熱量が見込まれる場合はRM−1pを導入し、パワートランジスターを分離実装します。

 

アリス  「ピン配置は三端子レギュレーターと互換なので置き換えも可能です。」

       ●正電圧用は78xxと互換(ピンアサイン:IN-G-OUT)

       ●負電圧用は79xxと互換(ピンアサイン:G-IN-OUT)まだつくってないです


【パーツリスト】

LED.Reg3(+)
部品番号
部品名称
     備      考

Q1

NPN

キットに付属なし。NPNパワートランジスター。
LED.Reg3基板にはTO92,TO126,TO220が実装可能。
Q2
NPN

小信号用NPNトランジスター、表面実装品も可(SC59,TO236MOD,2-3F1A)
2SC1815など

Q3
NPN
小信号用NPNトランジスター、表面実装品も可(SC59,TO236MOD,2-3F1A)
2SC1815など
Q4
Nch J-FET
表面実装品も可(SC59,TO236MOD,2-3F1A)
2SK30,2SK117,2SK246などIdss3-5mA程度で定電流特性に優れるもの。耐圧に注意。
D1-4
次項参照
φ5の各色LED。1〜4個。
D5
SiD
小信号用シリコンダイオード
基板裏
次項参照
追加ダイオード。小信号用シリコンダイオード
C
0.1uF
フィルムコンデンサー
VR
5k-20k
出力電圧調整用サーメット半固定抵抗器。音声ボリューム用小型可変抵抗器も可。
R
次項参照
キットに付属なし。能力調整用抵抗器。無くても良い。
入出力
L字ピンヘッダ
通常は1列3ピンを、RM−1pで使うときは1列4ピンか2列7ピンを使用する。(8ピンを加工)

 

各パーツの適用について
  ・LED.Reg3の出力電圧は最低出力電圧以上の任意の値に設定可能。最低出力電圧はパーツの種類やLEDの個数によって決まる。
  ・未使用のLEDホールはリード線で接続する。
  ・抵抗器Rは能力調整用のパーツで必ずしも必要ではない。幅広い可変電圧範囲を求める場合は実装しなくても良い。
  ・は0.25W以上のものを、できれば0.5W品が安心。

実装するLED
LED.Reg3の
最低出力電圧
LED.Reg3の出力電圧と、それに対応する補助抵抗Rの値
追加ダイオード
1.8-4V
3-6V
5-10V
8-20V
20-30V
30-45V
赤外線 1個

約1.8V 以上

820
1.5k
2.7k
5.9k
12k
27k
-
赤・黄・緑 1個
約3V 以上
-
1.2k
2.2k
5.1k
10k
27k
-
赤・黄・緑 2個
青 1個
約5V 以上
-
-
1.8k
4.7k
9.1k
24k
-
赤・黄・緑 3個
約6.5V 以上
-
-
1.2k
3.9k
8.2k
22k
赤・黄・緑 4個
青 2個
約8V 以上
-
-
-
3.3k
7.5k
20k
青 3個
約11V 以上
-
-
-
2.4k
6.8k
20k
青 4個
約14.5V 以上
-
-
-
1.8k
5.6k
18k

 

追加ダイオードについて
  ・上記表に適用がある場合は追加ダイオードを基板裏に実装します。
  ・実装位置とパーツの向きは次の通りです。小信号用のシリコンダイオードを使用します。


【出力電圧の調整方法】

アリス  「出力電圧の調整方法はLED.Regと同じです。半固定抵抗をまわすことで出力電圧を変更することが出来ます。
      半固定抵抗器には正立型と倒立型の2種類があります。抵抗体は同じものなのですが回転方向が異なります。
      入手性の問題からどうしても混在してしまいます。使用時にはご注意ください。」

アリス  「実際に使用する際には、万が一に備えて、
      ブレッドボードなどを利用して予め電圧の調整を済ませてから、使用先へ実装することをおすすめします。
      実装後、温度の安定を待って微調整するのが良いでしょう。

      調整時に初通電する時には、下記を参考に、あらかじめ最少出力電圧から2目盛りほど上にセットしておくことをお奨めします
      また、電圧調整時には半固定抵抗を高電圧方向に回しすぎないように注意しましょう。

      配線パターンの都合上、他のRegシリーズとは回転の向きが逆になっていることに注意してください。

正 立 型
倒 立 型
LED.Reg3(+):右に回すと最小出力
LED.Reg3(+):左に回すと最小出力
LED.Reg3(−):右に回すと最小出力
LED.Reg3(−):左に回すと最小出力
※最少出力とは0Vに近づくことを指します。
※LED.Reg3(−)はまだ造ってません。

アリス  「半固定抵抗器の保証寿命は通常20〜100ストロークくらいです。
      頻繁に電圧調整をする場合はボリューム調整などで使われる小型の可変抵抗器を使った方が良いでしょう。」


【実装例】

アリス  「パーツの実装は簡単なほうです。以下、注意点です。」

  (注意点)
    ・キット付属の2SK246Yは実装の向きがシルク印刷の向きと反対になる。

アリス  「2SK30や2SK246は通常品とはピン配置が逆になっているのでこのようなことになりました。
      それと、Q1(パワートランジスター)はminiReg2opeRegと同様に基板裏に実装します。
      シルクを参考に実装の向きにご注意ください。放熱器を使う場合には、基板裏のリード線や余分なハンダは短く切除して放熱器との接触を防いでください。

      LED.Reg3にパワートランジスターを実装して単独で使う場合には、L字ピンヘッダーは1列3ピンのものを
      正電源では(IN、G、OUT)に、負電源では(G、IN、OUT)に取り付けます。

      LED.Reg3をRM−1pに実装する場合は、パワートランジスターはRM−1pに取り付け、
      LED.Reg3にはL字ピンヘッダの2列7ピン端子を取り付けます。」

以下はRM−1pにC1種実装をしています。
ソケットを使用してリニアレギュレーターの交換を容易にしています。
  

  


【ご注意と同意事項】

電気を使うものですから火災・火傷・感電・けが等に充分ご注意してお楽しみください。
当ホームページに記載されているものはキット品ですから組立て・使用等にともなって損害が発生した場合には
ユーザー自身が責任を負うことになりますし、当方は一切の責任を負いかねる旨、予めご承知おきください。
また、本キットには部品の初期不良や欠品を除く一切の保証がありません。


 

 

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