アリスのプリアンプ with アクティブ・アッテネーター

キットの説明

 

【目次】

内容が錯綜してわかりづらくなってますので目次をご利用ください。m( _ _ )m
また、こちらで実用テストをしています。参考にしてください。

 いきさつ

 キットの概要  頒布価格について  プリアンプ キット パッケージの頒布について  追加のパーツセットのリスト  回路図

 製作にあたっての注意点
    基板のミスのリカバリー  オペアンプの取り扱い  増幅率の設定  RIAAフォノイコライザーを使用する
    出力にカップリングコンデンサーを使いたい場合  ボリューム(可変抵抗)の実装について  コンデンサーについて

 セッティング例について
    ラインプリアンプとして使う場合  ギタープリアンプとして使う場合
    MCヘッドアンプ&CR型RIAAフォノイコライザーアンプとして使う場合
    ヘッドフォンアンプとして使う場合

 電源セッティングについて
    スイッチング電源を使う  電源トランスを使う  バッテリーを使う

 ケーブルの長さについて   なんちゃって試聴記   実装例

 ALP−1のシステムアップや応用例(実用例)


 

次世代機としてALP-mkIIを製作中です。
最新の情報はこちらを参照にしてください。


【キットの概要】

アリス  「オペアンプを使用した高音質なプリアンプの基板です。音量調整にアクティブ・アッテネーターという方法を採用しています。
      オペアンプは1回路のものと2回路(デュアル)のものを両方使えますので、様々な組み合わせで試聴が可能です。
      キット製作のいきさつなど、詳しくはこちらを見てください。」

みみずく 「ライン・プリアンプとして使えるのはもちろんだけど、セッティング変更の自由度が高いので幅広い用途に対応可能だな。」

アリス  「特徴を列挙するとこんなカンジです。」

   ・ボリュームをドライブする為のアンプを搭載したアクティブアッテネーター形式
   ・1回路&2回路入りのオペアンプを兼用可能
   ・出力回路にディスクリートバッファーアンプ搭載
   ・正負左右個別給電。オンボード電源としてCRフィルター
     &可変定電圧レギュレーター「miniReg2」「opeReg」「LED.Reg
」4個を近接配置し高性能化
    (三端子レギュレーターの搭載やレギュレーター非搭載のセッティングも可)
   ・miniReg2、opeRegの搭載でオペアンプにあわせた最適な電源電圧にセッティング変更が容易
   ・パッシブCR型のRIAAフォノイコライザー回路を搭載
    (MCヘッドアンプ+CR型フォノイコライザー+プリアンプのセッティングがこの基板一枚で可能)
   ・エレキギター用のプリアンプとしても使用可能
   ・ヘッドフォンアンプとしても使用可能。

みみずく 「製作が簡単なワリには機能も豊富で音も良かったし、けっこう遊べるんじゃないかな?」

アリス  「そうですね。いろんな人たちに楽しんでもらいたいです。
      あと、アートワークを工夫したので基板の表面は、ほぼベタアースでシールドされています。ノイズにも強くなってると思います。」


【頒布について】

※ALP−1はバージョンアップしてALP−1v3になりました。

・アリスのプリアンプ with アクティブ・アッテネーター ALP-1v3

内容
  基板(181.6o×61.8o)→v3(190.5 mm×67.31 mm)………1枚

※電源回路を構成するminiReg2(+)(-)opeReg(+)(-)は別売りです。
  
miniReg2、opeRegの代わりに一般的な三端子レギュレーターを搭載することも可能です。

ご注文についてはオーダーについてをご参照下さい。


【プリアンプ・キット・パッケージの頒布について】

アリス  「慣れていないうちはパーツ集めも大変です。お店を探すのも一苦労です。
      特に電源トランスは何が適合するのやらわかりずらいかもしれません。

      このキットパッケージはわたしが使っているプリアンプの仕様に近いものをパッケージにしたものです。
      高音質かつ汎用性が高いチューニングとしましたので役に立つと思います。」

      詳細はこちら


≪以下は追加のパーツセットです。≫
※購入原価での提供ですのでキット基板と同数のパーツセットのみ注文可能です。
 クリックでpdfファイルが立ち上がります。

・ラインプリアンプ用パーツセット
  オペアンプ(IC)バーブラウンOPA2134 …2個
  オペアンプ用ICソケット …6個
  トランジスター 2SC1815GR …4個
  トランジスター 2SA1015GR …4個
  可変抵抗(VR)アルプスRK27 10kΩAカーブ …1個
  金属被膜抵抗(R)汎用品 …24個
  オペアンプの電源デカップリングコンデンサー(C)WIMAフィルムコンデンサー …12個
  電解コンデンサー(C1〜C8)超低ESR品25V1000μF …8個
  電解コンデンサー(C9〜C16)超低ESR品25V330μF …8個
  ターミナルブロック(2P) …6個
   ※追加オプションでリンクマン製LMFQ抵抗(0.5%級)24個に変更できます。


・ギタープリアンプ用パーツセット
  オペアンプ(IC)バーブラウンOPA2134 …2個
  オペアンプ用ICソケット …6個
  トランジスター 2SC1815GR …4個
  トランジスター 2SA1015GR …4個
  可変抵抗(VR)アルプスRK27 10kΩAカーブ …1個
  金属被膜抵抗(R)汎用品 …28個
  オペアンプの電源デカップリングコンデンサー(C)WIMAフィルムコンデンサー …12個
  電解コンデンサー(C1〜C8)超低ESR品25V1000μF …8個
  電解コンデンサー(C9〜C16)超低ESR品25V330μF …8個
  ターミナルブロック(2P) …6個
   ※追加オプションでリンクマン製LMFQ抵抗(0.5%級)28個に変更できます。


・MCヘッドアンプ用パーツセット

  オペアンプ(IC)バーブラウンOPA2134 …2個
  オペアンプ用ICソケット …6個
  トランジスター 2SC1815GR …4個
  トランジスター 2SA1015GR …4個
  可変抵抗(VR)アルプスRK27 10kΩAカーブ …1個
  金属被膜抵抗(R)汎用品 …28個
  オペアンプの電源デカップリングコンデンサー(C)WIMAフィルムコンデンサー …12個
  電解コンデンサー(C1〜C8)超低ESR品25V1000μF …8個
  電解コンデンサー(C9〜C16)超低ESR品25V330μF …8個
  ターミナルブロック(2P) …6個
   ※追加オプションでリンクマン製LMFQ抵抗(0.5%級)28個に変更できます。


・MCヘッドアンプ&CR型RIAAフォノイコライザーアンプ用パーツセット
  オペアンプ(IC)バーブラウンOPA2134 …2個
  オペアンプ用ICソケット …6個
  トランジスター 2SC1815GR …4個
  トランジスター 2SA1015GR …4個
  可変抵抗(VR)アルプスRK27 10kΩAカーブ …1個
  金属被膜抵抗(R)汎用品 …28個
  オペアンプの電源デカップリングコンデンサー(C)WIMAフィルムコンデンサー …12個
  電解コンデンサー(C1〜C8)超低ESR品25V1000μF …8個
  電解コンデンサー(C9〜C16)超低ESR品25V330μF …8個
  (RIAAフォノイコライザー用素子)
    金属被膜抵抗(A,C,D)汎用品 …8個
    フィルムコンデンサー(B,E)WIMA製フィルムコンデンサー …4個
  ターミナルブロック(2P) …6個
   ※追加オプションでリンクマン製LMFQ抵抗(0.5%級)36個に変更できます。


・RIAAフォノイコライザー用オプション

  4700pF×2をスチコンに変更
  4700pF×2を銅箔PPコンに変更


・ヘッドフォンアンプ用パーツセット

  オペアンプ(IC)バーブラウンOPA2134 …2個
  オペアンプ用ICソケット …6個
  トランジスター 2SC1815GR …2個
  トランジスター 2SA1015GR …2個
  トランジスター 2SC3421Y …2個
  トランジスター 2SA1358Y …2個
  可変抵抗(VR)アルプスRK27 10kΩAカーブ …1個
  金属被膜抵抗(R)汎用品 …24個
  オペアンプの電源デカップリングコンデンサー(C)WIMAフィルムコンデンサー …12個
  電解コンデンサー(C1〜C16)超低ESR品25V1000μF …16個
  ターミナルブロック(2P) …6個
   ※追加オプションでリンクマン製LMFQ抵抗(0.5%級)24個に変更できます。


※上記の他にオンボードレギュレーターが必要です。
  miniReg2(+)(-)opeReg(+)(-) もしくは LED.Reg(+)(-) を2個ずつ、または三端子レギュレーターが正負2個ずつ必要です。
※ALP−1基板への電源入力はDC±24Vを奨励します。

スイッチング電源アダプターを2つ使うのが簡単・安価で確実だと思います。


【回路図】

みみずく 「じゃあ、まずは回路図から。パスコンは省略されている。」
      ※クリックすると拡大されます

アリス  「こちらは電源回路です。」

アリス  「v3になって回路が少しだけ変りました。以下は新しい回路図です。」

みみずく 「RIAAフォノイコライザーの有効とバイパスを切り替えられるようになってるね。
      フォノイコを使う場合は図中1,2,3,4の基板裏の配線を切断して
      ジャンパーポストを立てておくと切り替えに便利。」


≪製作にあたっての注意点≫

【基板のミスのリカバリー】

★対象:v3基板

アリス  「大変申し訳ありません。またしても基盤にミスがありました!」

みみずく 「やってしまったか。」

アリス  「ボリューム調整用可変抵抗の取り付け部分の配線パターンがグランドに接触しています。
      v3になって基板をサイズアップしたときに配線が接触したのを見落としていました。

アリス  「頒布する基盤はあらかじめパターンを修正して写真のようにレジストをかけておきます。」

 

【オペアンプの取り扱い】

みみずく 「続いてはオペアンプの取り扱いについてだな。」

アリス  「はい。ALP−1では1回路のオペアンプと2回路(デュアル)のオペアンプが共用できます。
      前段アンプをIC1,2,3が担当し、後段アンプをIC4,5,6が担当します。
      前段に1回路のオペアンプを使う場合にはIC1,3に実装し、IC2には実装しません。
      2回路入りオペアンプを使う場合にはIC2に実装し、IC1,3には実装しません。
      後段アンプについても同様で、1回路オペアンプはIC4,6を使い、
      2回路入りオペアンプはIC5のみを使います。」

みみずく 「オペアンプの品種については、まぁ、あまり気にする必要はないね。」

アリス  「そうですね。基板にはJ-FETオペアンプを奨励する旨、記載されているんですが、
      実際にはJ-FET型はもちろん、一般的なバイポーラ型も問題なく使用できました。
      基本的にはほとんどのオペアンプが使えると思います。」

みみずく 「ちょっと注意が必要なのは、入力抵抗のR6とR8。
      J-FET型のオペアンプには不要なんだけども、バイポーラ型の品種によっては必要な場合がある。
      特にボルテージフォロワーで使う際には必要なことが多い。
      詳しくはそれぞれのデータシートで確認する必要があるけど、多くの場合には1kΩで事足りる。」

アリス  「でも、入力抵抗が無いほうが音が良かったから、不要な場合にはできるだけ入れたくないですよねー。
      入力抵抗が不要な場合にはR6,8にはジャンパー線(0Ω)を取り付けてください。」

 

【増幅率の設定】

アリス  「次は増幅率の設定についてですね。」

みみずく 「前段アンプの増幅率の設定はR9,10,11,12で行なう。
      前段をボルテージフォロワーで使う場合にはR9,11にジャンパー線(0Ω)を使い、R10,12には何も実装しない。」

アリス  「前段の増幅率の計算は次のとおりです。」

    ・チャンネル1(IN1):増幅率=(R9+R10)÷R10
    ・チャンネル2(IN2):増幅率=(R11+R12)÷R12
      例)R9=4.7kΩ、R10=10kΩ、増幅率=(4.7k+10k)÷10k=1.47倍

みみずく 「後段の増幅率の設定については注意点があるね。」

アリス  「はい。後段アンプは出力バッファーアンプとして、増幅率1倍のボルテージフォロワーでの使用を想定してあります。
      後段アンプの増幅率の設定はR27,28,29,30で行ないますが、
      標準状態では基板上のジャンパーでショートしてある為、
      これらの抵抗を実装してもしなくても、後段アンプはボルテージフォロワーとして機能します。」

みみずく 「R27〜28を有効にするには下の写真のジャンパー部分をカットするとよい。
      配線パターンカットにはアクリルカッターやプラスチックカッターが便利。」

アリス  「その上で、後段の増幅率の計算は次のとおりです。」

    ・チャンネル1(OUT1):増幅率=(R27+R28)÷R27
    ・チャンネル2(OUT2):増幅率=(R29+R30)÷R30

  

 

【RIAAフォノイコライザーを使用する】

アリス 「ALP−1は標準状態ではフォノイコライザー回路の使用が想定されていません。
     スペシャル(?)な人たち向けなので…」

みみずく 「標準状態では、フォノイコライザー回路は基板上のジャンパーで無効化されているので
      下の写真の部分をカットすると使えるようになる。」

※V3基板はパターンのカットポイントがジャンパー1,2,3,4の裏になります。

 

【出力にカップリングコンデンサーを使いたい場合】

みみずく 「基本的には必要ないとは思うけど、出力にカップリングコンデンサーを実装できるようになっているんだね。」

アリス  「はい。念のためにパターンを用意しました。
      カップリングコンデンサーの実装をしたい場合は、
      下の写真のCCと書かれている部分のジャンパーをカットしてからコンデンサーを実装してください。
      ちょっとパターンが太めですが頑張ってくださいね。」

 

【ボリューム(可変抵抗器)の実装について】

アリス  「基板上にボリュームを実装できるようにしました。
      アルプスのRK27、RK163の基板実装品や東京光音電波の2CP601などの実装に対応しています。
      そのほかのボリュームについてもラグ端子のものはリード線などで延長すれば実装可能だと思います。」

みみずく 「そして、やはり、というか注意点がある。」

アリス  「実は、利便性を考えた配線パターンにした結果、
      ボリュームと基板をぴったりと密着させて実装すると端子がショートする場合があるようなんです。
      なので、ボリュームと基板の間に0.5o〜1mm程度の隙間を持たせて実装するようにしてください。」

 

【コンデンサーについて】

アリス  「コンデンサーについてはどう考えればいいでしょう?」

みみずく 「オペアンプの近接に配置されている電源デカップリングの為のパスコン「C」は0.01μ〜0.1μFが相場だな。
      私は0.01μFをオススメする。フィルムコンデンサーがいいね。
      通常のリード線のものでもいいし、ちょっと実装が大変だけど表面実装品のPPSコンデンサーは高性能だよ。」

アリス  「C1からC16は220μ〜330μFくらいの低ESRの電解コンデンサーが良い結果でした。」

みみずく 「電源のCRフィルターの効果を強めたければC2,3,6,7を1000μFくらいにすればよいし、
      かなり適当でもちゃんと動くので、手持ちの在庫をいろいろと試してみるのがいいんじゃないかな?」


≪セッティング例について≫

アリス  「いきなりですが、各セッティング例を一覧表にしてみました。
      パーツを集めるときの参考にしてください。」
      ※クリックでpdfファイルが立ち上がります。

みみずく 「それじゃあ、それぞれについて解説していこうか。」

 

【ラインプリアンプとして使う場合】

みみずく 「この場合、前段と後段をあわせた全体の増幅率は1〜3倍くらいが使いやすいと思う。
      ひとまず、ここでは2倍としよう。」

アリス  「前段と後段のどちらで増幅しても結果的には同じなんですよね?」

みみずく 「そう、増幅率だけを考えれば同じ。
      ただし、前段で増幅したほうがノイズ特性の点で有利なので、そうする。
      また、バイポーラ型のオペアンプで入力抵抗を省きたい場合には多少の増幅率はあった方がいいという事情もある。
      入力抵抗を省く場合にはR6,8にはジャンパー線(0Ω)を取り付けること。」

アリス  「そうすると、前段=増幅率2倍、後段=増幅率1倍(ボルテージフォロワー)ということになるんですね。」

みみずく 「そうだね、前段の増幅率を決めるR9〜12はそれぞれ10KΩでいいよ。
      後段については増幅率を決めるR27〜30の実装は必要ない。」

アリス  「ボリューム(可変抵抗)の値はどのように決めればよいでしょう?」

みみずく 「Aカーブ600Ω〜50kの範囲であれば、どれを使っても問題ないと思う。
      ただ、アクティブアッテネーターの利点を活かすんなら2kΩくらいがいいんじゃないかな?
      入手性の点から言えば10kΩだろうね。」

アリス  「入力の接地抵抗はどのくらいにしましょう?」

みみずく 「入力の接地抵抗R5,R7は、この回路の入力インピーダンスとほぼ等しくなる。
      これも広い範囲で問題なく動くんだけど、まぁキリのいい数字で100kΩとしておこうか。」

アリス  「そういうわけで、一覧表の定数になるんですね。」

 

【ギタープリアンプとして使う場合】

アリス  「きったぁ〜〜♪これが楽しみだったんです♪」

みみずく 「応用範囲が広いのがこのキットの特徴だね。
      ギターのピックアップは高域で出力インピーダンスが急上昇するから、
      ALP−1の入力はハイインピーダンスで受け止めてあげる必要がある。
      と、言うわけで入力接地抵抗のR5とR7は自動的に1MΩに決定。」

アリス  「入力をオペアンプで直受けにしているメリットですね。」

みみずく 「そうだね。そしてさらに、前段のオペアンプには入力インピーダンスの高いJ-FET型がオススメ。
      入力抵抗のR6とR8は省いてジャンパー線(0Ω)で結線した方がいい。
      音の繊細さが違う。
      もちろんバイポーラ型のオペアンプも使用可能だ。」

アリス  「音響用としては評価の低いJ-FETオペアンプの072Dなんかエッジの立った音がするので
      ギター用としてはいけるんじゃないかと期待大です♪」

みみずく 「さて、ここで大事な注意点。」

アリス  「あら、なんですか?みみずく先生?」

みみずく 「前段と後段の増幅率のセッティングをどうするのか、ということと関わってくるんだけど、
      アクティブアッテネーターでは前段で増幅された信号電圧のクリップに注意しなければならない。」

アリス  「クリップ?」

みみずく 「そう、ALP−1は前段アンプが入力に直結しているから、入力された信号を減衰させるメカニズムが無い。
      だから、例えば前段の増幅率が10倍だとして±2Vの信号を入力すると前段アンプでは±20Vにまで増幅される。
      オペアンプの出力電圧は最大でも電源電圧まで、品種にもよるけれども電源電圧よりも2V程度低めの場合もある。
      そうすると、±20Vの信号は最大出力電圧で頭打ちになってクリップしてしまう。
      こういったことを考慮すると、電源電圧を±15Vとした場合には信号電圧の最大値は±13V以内になるようにしたほうがいい。」

アリス  「ということは、前段の増幅率はある程度控えめにしたほうがいいと言うことですね。」

みみずく 「そうだね、そのほうが過大信号によるクリップのリスクは減る。
      プレイヤーの演奏スタイルにもよるんだけど、ピックアップからのピーク電圧は意外なほどに高いからね。
      この辺はプレイヤーによってカスタマイズしたほうがいいと思う。
      できるだけ高い電源電圧で、できるだけ前段の増幅率を上げて、
      後段の増幅率は下げるようにセッティングするのがセオリーだと思う。」

アリス  「一覧表のセッティングはリスク控えめと言うことですね。」

みみずく 「まぁ、実用上は前段と後段をあわせた増幅率は20倍程度でもいいかな、とも思うんだけどね。
      あと、ボリュームについてはラインプリアンプと事情が変らないので1k〜10kΩで良いよ。
      入手性の良さからAカーブ10kΩかな。」

アリス  「私もいろいろと試してみたいと思います。
      あ、それと、このセッティングでは後段アンプでも増幅を行なうので、こちらを参考に基板上のジャンパーをカットしておく必要があります。」

 

【MCヘッドアンプ&CR型RIAAフォノイコライザーアンプとして使う場合】

アリス  「次はMCヘッドアンプ&CR型RIAAフォノイコライザーのセッティングについてですね。
      あたしには良くわからないので、みみずく先生お願いします。」

みみずく 「アナログレコードに音楽信号を記録(カッティングという)するときには、
      振幅の大きな低域を小さめに、振幅の小さな高域を大きめに記録することになっている。
      だから、再生時にはこれを補正する為のフォノイコライザーという処理回路が必要になる。
      フォノイコライザーの周波数特性はRIAAカーブというものを基準にする。
      ちなみに、理想的なRIAAカーブからどのくらいのズレがあるのかをRIAA偏差と表現する。」

アリス  「アナログレコードにはそんな仕組みがあったんですね。」

みみずく 「昔はもっと一般的な知識だったんだけどね。
      フォノイコライザーは負帰還を利用したNF型と、負帰還を利用しないCR型に大別される。」

アリス  「ALP−1にはCR型のフォノイコライザーが搭載できるようになってます。」

みみずく 「NF型とCR型を比べると、まぁ、CR型の音の味わいの方が私は好きなんだよ。」

アリス  「ところで、MCヘッドアンプってなんですか?」

みみずく 「MCはムービングコイルの略だよ。
      アナログレコードを再生するためのカートリッジにはMC型の他にMM型(ムービングマグネット)というものがあるんだけど、
      MM型と比べるとMC型の方が駆動部分の質量が小さいので繊細な信号をピックアップしやすいと言われている。
      そのかわりMC型は出力電圧がとても小さい。
      それを適切に増幅するのがMCヘッドアンプの役割だよ。」

アリス  「うーむ、アナログレコードの再生にはいろんなものが必要なんですね。」

みみずく 「そうだね、一般的には

      ターンテーブル(MCカートリッジ) ⇒ MCヘッドアンプ ⇒ フォノイコライザーアンプ ⇒ プリアンプ ⇒ パワーアンプ ⇒ スピーカー

      というシステムになることが多い。
      今回はMCヘッドアンプ、フォノイコライザー、プリアンプの三役をALP−1だけでまかなってみることがねらいさ。」

アリス  「上手く行くといいですね。」

みみずく 「というわけで、RIAAフォノイコライザー部のパーツリストは以下のようになる。」

      A=56kΩ  B=0.047μF  C=11kΩ  D=6.8kΩ  E=4700pF

アリス  「基板上のジャンパーをカットして(RIAA CR EQ)を有効にしておいてくださいね。
      このセッティングでは後段アンプでも増幅を行なうので、こちらを参考に基板上のジャンパーをカットしておく必要があります。 」

みみずく 「RIAA偏差は搭載するボリュームの抵抗値によって異なってくる。
      計算上は1kΩのボリュームだと最大RIAA偏差は0.1dB以下
      2kΩのボリュームを使うと最大偏差は0.22dB以下
      10kΩのボリュームで最大偏差1.1dB以下。
      ただ、10kΩの場合でも80Hz以上の周波数では最大偏差は0.3dB以下となるから実用上は問題ないと思う。」

アリス  「あたしも探してみたんですけど、1kΩや2kΩのボリュームって極端に入手性が悪いですよね。」

みみずく 「そうなんだよ。だから10kΩでも充分に役目が果たせるようにセッティングしてみた。
      ところで、このイコライザー回路では1kHzで−20dBあまりの減衰が発生する。
      そこで、MCヘッドアンプとしての増幅率を満たす為にも前段アンプ、後段アンプのそれぞれで約40dBの増幅率を持たせることで、
      ALP−1全体としての増幅率は1kHzで60dB(1000倍)となるようにしてある。」

アリス  「その結果が一覧表に載っているんですね。」

みみずく 「それと、フォノイコライザー回路は大変繊細な回路なのでパーツの選定にはとても気を遣う。
      特にコンデンサーの選定がかなり重要になる。
      いまどきアナログレコードのためにキットにチャレンジしようという奇特な同志たちには、
      せっかくなら、できるだけ良い音で楽しんでもらいたい。
      そこで、私のストックパーツからいくつか提供したいと思うんだが…。」

アリス  「え?いいんですかー♪」

みみずく 「本当に少ししかないんだけど、良かったら使っておくれ。」

アリス  「ありがとうございまーす♪あとでオーダーシートに追加して置きますね♪」

みみずく 「パーツの特徴を簡単に挙げておくよ。」

    [4700pF]
     ・スチコン…とても高音質なコンデンサー。その音質は繊細で上質。とっくの昔に製造中止。
           熱に非常に弱いので素早いハンダづけが求められる。

     ・銅箔PPコン…これも製造中止。スチコンと並んで特性の良いPPコンの電極板に銅箔を使用したもの。

     ・PPSコン…新素材を使用した高性能コンデンサー。スチコンにも迫る音質を持っている。
            表面実装品の為、比較的安価に入手できる。現行品。

    [0.047μF]
     ・PPSコン…この大きさのコンデンサーは現在ではPPSコン以外の選択肢が無いように思う。
            表面実装品であるが、比較的ハンダづけは容易。現行品。

アリス  「スチコンってなんだかカワイイ響きですね。」

みみずく 「とても音の良いコンデンサーだったのだが、今となっては入手が難しい。
      もちろん、現在でも製造されている通常のマイラーやPPのフィルムコンデンサーなら、どれでも問題なく使用できるよ。」

 

【ヘッドフォンアンプとして使う場合】

アリス  「ALP−1をヘッドフォンアンプとして使えないか?というご質問がきてます。」

みみずく 「定数を調整すればヘッドフォンアンプとして使うことは可能だよ。
      プリアンプとヘッドフォンアンプは比較的近い構造をしているからね。」

アリス  「と言うわけでセッティング変更したヘッドフォンアンプ用のパーツリストです。」
      ※クリックするとpdfファイルが立ち上がります

みみずく 「ALP−1をヘッドフォンアンプとして使うには一部のトランジスターを変更する必要がある。
      基板を正面から見ていちばん左側の縦一列の4つのトランジスターを
      小信号用トランジスターからパワートランジスターに変えることでその要件を満たすことができる。
      パワートランジスターには2SA1358&2SC3421のほかに
      2SA965&2SC22352SA966&2SC22362SA1356&2SC34192SA1359&2SC3422なども使える。
      今でもまだ入手可能だろう。」


≪電源セッティングについて≫

※ALP−1のシステムアップについての記事をこちらに追加しました。
 専用チューンのopeRegもつくってみました。

アリス  「ALP−1にはオンボードレギュレーターとして
      miniReg2(+)とminiReg2(-)opeReg(+)とopeReg(-) もしくはLED.Reg(+)とLED.Reg(-)を2基ずつ搭載するので、
      オペアンプへの電源電圧を簡単に変更できます。」
      ※レギュレーターの実装は基板のシルク印刷に従って行なってください。
      ※opeRegの出力電圧を可変にするためにはopeRegに半固定抵抗を実装する必要があります。
      ※レギュレーター実装直後の電源電圧の調整は、ALP−1のオペアンプを取り外した状態で行なうことをオススメします。

みみずく 「基本的には、オペアンプはなるべく高い電源電圧で使った方が性能が良くなる。
      一般的には±15Vの設定でいいだろうけど、なかには耐圧12Vまで、なんていう品種もある。
      耐電圧はオペアンプによって異なるから個別にデータシートでベストな値を確認する必要があるね。」

アリス  「オペアンプごとにベストな電源電圧の設定ができるのは都合がいいですね。」

みみずく 「それと、これは仕様に関わることなんだけど、ALP−1の消費電流は大まかにこのようになる。」

  (電源電圧が±15Vのとき)
    オペアンプの消費電流(多くのオペアンプでは4mAくらい)×4回路=16mA
    miniReg2、opeRegのアイドリング電流 2.5mA前後 ×4基=10mA
    ディスクリートバッファーアンプ 15mA前後 ×2回路=30mA

    合計消費電流 だいたい50〜60mAくらい(実測は30〜40mAくらいでした)

みみずく 「CRフィルターを構成するR1〜4のそれぞれには、ちょうどこの半分の電流が流れる。
      CRフィルターはC(μF)とR(Ω)の値を大きくすることで効果を強められる。
      セッティングを変更する場合には、miniReg2の為に3V以上のドロップ電圧を残しておいた方がいいことと、
      各Rでの発熱量を考慮して決めればよいね。」


【スイッチング電源を使う】

みみずく 「さて、まずはお手軽な方法からいってみよう。」

アリス  「スイッチング電源アダプターを使うんですね。」

みみずく 「そう、ALP−1の電源ブロックには強めのCRフィルターが搭載されているから、スイッチングノイズを効果的に吸収してくれる。
      スイッチング電源と相性はいいはずだよ。接続例はこうだね。」

アリス  「DC24Vのアダプターを2台使うんですね。」

みみずく 「アダプターでも、組み込み用のユニットでも何でもいいよ。
      秋月電子で売っている『コーセル24V1.3A電源LCA30S−24(¥700)』
      を2つ買うなんてのもいいかもしれない。ケーシングが楽にできそうだしね。
      同じものを2台用意して同時にON/OFFできるようにしておけばまったく問題ない。」

アリス  「お手軽な割にはとてもしっかりとした音が出るんですね。驚きました。」

みみずく 「ローカルレギュレーターとしてminiReg2opeRegLED.Regを搭載していることも効果的なんだと思うよ。」


【電源トランスを使う】

アリス  「次は電源トランスですね。
      実はあたし、トランスはほとんど使ったことがありません。」

みみずく 「確かに最近は大きな電源トランスを目にする機会はめっきり減ったね。
      しかし、趣味と美学のオーディオ業界ではまだまだ現役だ。
      秋葉原にはトランスだけを扱うお店がまだ何件かあって、かつての秋葉原を彷彿とさせる、なんともいい雰囲気を醸し出して…」

アリス  「というより、ホコリ臭かったです。」

みみずく 「んん?あぁ、このあいだ一緒に行ったお店のことかい?
      まあ、確かに女性受けするようなキレイなところではないよな。」

アリス  「もう少し息が楽にできるようなお店だといいのになぁ。」

みみずく 「最近はマニアックな部品屋さんでも女性を見かけるようになってきたから、
      今後は変って行くかもしれない、と、期待を込めて言っておこう。」

アリス  「ところで、電源トランスを使うのなら、このまえ作ったUBR−1が使えますよね?」

みみずく 「ちょうど、ぴったりの用途だね。
      具体的に使えそうなトランスの一例を挙げておこう。」

 (ノグチトランス)
   PM−18x01(E I型、\590-) 1次側100(Vac) 2次側18−0−18(Vac) 定格出力0.1(A)
   PM−18x02(E I型、\650-) 1次側100(Vac) 2次側18−0−18(Vac) 定格出力0.2(A)
   PM−20x015(E I型、\750-)1次側100(Vac) 2次側20-18-0-18-20(Vac)  定格出力0.15(A)

 (RSコンポーネンツ取り扱い)
   70015K(トロイダル型、\1650-)1次側115(Vac) 2次側22(Vac)×2 定格出力0.073(A)
   60015 (トロイダル型、\1700-)1次側115(Vac) 2次側22(Vac)×2 定格出力0.073(A)

 ※上記のトランスではALP-1への供給電圧が足りない例が報告されています。
   こちらを使ってみてください。
   70045K 1次側115Vac×2 2次側22Vac×2 定格227mA (使用実績あり)
   70035K 1次側115Vac×2 2次側22Vac×2 定格159mA
   60035 1次側115Vac×2 2次側22Vac×2 定格159mA

アリス  「数百円で買えるようなものもあるんですねー。」
      ※価格は更新していないので各自で確認してください。

みみずく 「ありがたいことに作り続けてくれているところがある。
      さて、PM18x01を使って組んでみよう。PM−18x02もPM−20x015も配線の仕方は一緒だ。」

 

 

みみずく 「70015K、60015の場合はこのようになる。
      1次側の巻線は並列で使い、2次側の巻線は個別に配線し結果的に直列になるようにする。」
      ※60035の場合は一次側は0V、115Vを使用し230Vは使用しません。

アリス  「UBR−1をセンタータップ式両波整流で使用しているんですね。」

みみずく 「この方式の特徴は、電流がダイオードを1回しか通過しないこと。
      注意点はダイオードにトランス2次側の両端電圧がかかるから、動作時でもダイオードの耐圧は50数V以上必要なこと。
      無負荷時には80V弱の電圧がかかる可能性があるから、耐圧100V以上のダイオードを使うのがよいだろうね。
      さて、UBR−1のセッティングをちょっと列挙しておこうか。
      ただし机上計算で実測はしていないから実機で調整は必要になるかもしれない。
      抵抗のかわりにインダクター(コイル)を使うのも音質的に面白い。低音の質が良くなる傾向がある。」

   (PM−18x01 or PM−18x02の場合)
       ダイオード…シリコン・ダイオード
       フリーコネクト部の抵抗(e.g.の通り実装)…4.7Ω
     もしくは
       ダイオード…SBD、ショットキー・バリア・ダイオード
       フリーコネクト部の抵抗(e.g.の通り実装)…12Ω

   (PM−20x015の場合 ※20−0−20(Vac)を使用)
       ダイオード…シリコン・ダイオード
       フリーコネクト部の抵抗(e.g.の通り実装)…56Ω
     もしくは
       ダイオード…SBD、ショットキー・バリア・ダイオード
       フリーコネクト部の抵抗(e.g.の通り実装)…62Ω

   (70015K or 60015 or 70045の場合)
       ダイオード…シリコン・ダイオード
       フリーコネクト部の抵抗(e.g.の通り実装)…30Ω
     もしくは
       ダイオード…SBD、ショットキー・バリア・ダイオード
       フリーコネクト部の抵抗(e.g.の通り実装)…39Ω


【バッテリーをつかう】

…工事中……


【ケーブルの長さについて】

アリス  「ケーブルはできるだけ短い方がいいのですが、
      どうしても長くなってしまうときにはどうすればよいのか?と言うことですね。」

みみずく 「こういうことは手っ取り早く実験してみるのが面白いよね。」

アリス  「と、言うわけで、わざわざ5mのラインケーブルを用意しました。
      ALP−1はラインプリアンプでのセッティングです。
      入力にはDAコンバーターを、出力にはトライパス初段直結化DCアンプ・スペシャルとスピーカーをつなぎました。」

みみずく 「さっそく聴いてみよう。」

アリス  「ちょっと待ってください。今、セッティングしますから…。はい、オーケーでーす。」

みみずく 「うむ、この音が基準となるわけだ。」

アリス  「では、当初の目的どおりに“Alice's Pre Amp (ALP-1)”が長いケーブルの駆動に貢献しているのか?を検証しましょー。
      セッティングを変更しまーす。」

みみずく 「ほぉ、これはこれは。」

アリス  「まぁ、ずいぶんな違いがあるわ。」

みみずく 「理屈ではわかっているけども、やはり違いがあるねぇ。」

アリス  「音の輪郭が格段に良くなりますね♪
      これはディスクリートバッファーアンプの威力ですか?」

みみずく 「ディスクリートバッファーが貢献しているのは確かだと思う。
      電源部などの他の要素も関連しているだろうけど。」

アリス  「いちおう、プリアンプ無しも聴いてみましょう。」

みみずく 「これでも普通に聴けるけど、プリアンプありと比べてしまうと、やはり迫力やリアリティーが物足りないな。」

アリス  「もしかして、ケーブルの駆動って実は思っていたよりも複雑なことなのかもしれませんね。」

みみずく 「なんにしても、当初の想定どおり、長いラインケーブルはALP−1に駆動させて、
      他のケーブルはできるだけ短くするのがよいことが確認できた。」


【なんちゃって試聴記】

※オペアンプの試聴記をこちらに追加しました。

アリス  「手持ちのオペアンプの試聴記をさらっと書いておきます。
      音質についてはわたしの独断と偏見になりますので、あんまりアテにはしないで欲しいのでーす。
      ALP−1はラインプリアンプのセッティングで、オペアンプは一種類のみで混載はしていません。
      電源電圧は±15Vです。」


@OPA2134(J-FET 2回路)
  解像度、周波数特性、音場、どれをとっても高品質で自然。
  安定性も高く、ボルテージフォロワーでも入力抵抗無しでも安定して動作します。
  たぶん、どんな使い方をしても問題を起こさないオペアンプだと思います。
  安価で入手性もよいし、まずはこのオペアンプをベースにしてチューニングするのがよいと思います。


AOPA134(J-FET 1回路)
  OPA2134の1回路モデル。ほとんど同じ音がするかな?と予想してたんですが違いがありました。
  こちらの方が音場感が自然で高域の質感が高いです。
  オペアンプは電源電圧の変動を打ち消す力が強いそうなんですが、
  それでも、1回路用のものを使って電源ラインを左右で独立させる意義はありそうな感触です。


BOPA627(J-FET 1回路)
  音に繊細感があって、余韻が長く感じられます。音場に空気感も感じます。
  パワフルな感じはあんまり受けませんが、どんな音源にも破綻することなくキメの細かい音を聴かせてくれます。
  ただし、とてもとても高価です。後継機はOPA827だったかな?


COPA2604(J-FET 2回路)
  華やかで伸びのある音です。音の立ち上がりの鋭さもあります。
  解像度や音場感には特段の印象はありませんが、ダイナミックで厚みのある音になる、とでもいいますか、
  とても楽しく音楽を聴かせてくれる音質をしています。


DOPA604(J-FET 1回路)
  OPA2604の1回路モデル。2回路モデルと比べると、余韻や高域が明らかに上質になります。
  音場に空気感も感じます。気持ちの良い音です。
  やはり、1回路モデルの方が音質については有利なのでしょうか?


ENJM072D(J-FET 2回路)
  安価なJ-FETオペアンプ。当工房のトライパスDCアンプキットのDCサーボに採用されています。
  なので、あんまり期待してなかったんですが、おーっと、なかなかの音です。
  やや落ち着きがありませんが、中域はふわっと広がりエッジの効いた鋭い高域が伸び上がります。
  S/N感や解像度は高いです。
  やっぱり、このオペアンプはギタープリアンプに使ってみたいですね。


FNJM4580DD(バイポーラ 2回路)
  4558系のオペアンプ。音響用モデル。
  やや高域に荒れがあるために、高域まで延びているようにも感じますがそうでは無いと思います。
  高域に行くに従って独特の乱雑さがあり、それがパワフルな印象を与えます。
  特徴のある音ですが、音場感、解像度、S/N感など突出したものはなく、それでいてまとまりの良い音でもありません。


GNJM2068DD(バイポーラ 2回路)
  4558系のオペアンプ。広帯域・低雑音モデル。
  広帯域・低雑音モデルの為か、4580のガサツさや高域の乱雑さが大幅に改善されています。
  解像度感や音場感は特に感じませんが、パワフルで中域の押し出し感が強いところが特徴でしょうか。


HNJM5534D(バイポーラ 1回路)
  まとまりの良い自然な音をしています。違和感をあまり感じません。
  飛び抜けたものはありませんが、いろいろな要素が安心して使えるレベルにある優秀なオペアンプだと思います。
  中域にいくらかの繊細さを感じさせます。2回路モデルは5532です。


INJM2114DD(バイポーラ 2回路)
  5532のオーディオ用上位グレード品。5534とは違い、ずいぶん改良されている印象です。
  バランスよく伸びのある音質で、なおかつストレスを感じさせ無いため聴き疲れはあまりないと思います。
  音場にも空気感を感じます。オーディオ用として良質なオペアンプだと思います。


JOP275(J-FET/バイポーラ 2回路)
  緻密な描写力があります。解像度が高く高域の伸びもありつつ、どこか繊細な優しさがあります。
  空気感を感じる音場と、しっかりとした存在感のある音質で心地よく音楽が楽しめます。
  これはいいオペアンプだと思います。


KLM4562NA(バイポーラ? 2回路)
  解像度が高く帯域も広いです。音場は特徴的で高域の音場に広さを感じます。
  音の輪郭が明確で存在感があります。繊細な余韻の表現に乏しく描写力はそれほどでもありません。
  高域に独特のピークがあるためちょっと聴き疲れします。優しい音ではありません。


LLM49720NA(バイポーラ? 2回路)
  高解像度でS/N感も高く帯域もフラットで広いです。音場にも奥行きや空気感があります。
  描写力も高く、全体的には正確かつドライな音という印象です。


MLM49860NA(バイポーラ? 2回路)

  電源電圧±22Vに耐える高耐圧モデル。49720と同じ音かと思っていたんですがちょっと違いました。
  高解像度で広帯域なのは変らないんですが、こちらの方が静と動についての表現力が勝るように感じます。
  音場も広いです。


NMUSES8820D(バイポーラ 2回路)
  とても特徴的な音質を持っていると思います。
  しっとりとした優しく繊細な描写力があると同時に、存在感や厚み、パワフルさも備えており
  高いレベルでバランスされているオペアンプだと思います。
  解像度も高く音場も広いです。心地よい音で聴き疲れはほとんどありません。


【実装例】

アリス  「最後に、ALP−1の実装例をのせておきます。
      この例ではC1〜C8に1000μFが、C9〜C16には330μFが実装されています。
      ディスクリートトランジスターの実装には丸ピンを使っているので、簡単に差し換えて試聴することができます。」
      ※クリックすると拡大します。

 

 


アリス   「というわけで、パーツを基板に半田付けして、ユーザーの責任と判断のもと、充分に注意してご使用ください。
      本製品の製作・使用等に伴う事故や損害等につきましては、こちらでは一切の責任を負いませんので、あらかじめご承知置きくださいね。」

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