アリスのディスクリート入力回路付き
高音質プリアンプ基板

(ALP−mkU)

(ラインプリアンプ、RIAAフォノイコライザーアンプ、オープンリール再生NABイコライザーヘッドプリアンプ)


 

【 インスツルメンテーションアンプの使い方 】

アリス  「ALP−mkIIはアンバランス入力とバランス入力のどちらでも使えます。
      バランス入力の時には “ IC11 ” を使うことでインスツルメンテーションアンプ(計装アンプ)を組むことも出来ます。

      ここではオペアンプの使い方のおさらいを踏まえながら計装アンプの使い方について簡単に説明しましょう。」

 


    (イ)非反転アンプ

非反転アンプはオペアンプの最も基本的な使い方のひとつです。
+INから入力された信号を増幅して同極性でOUTから出力します。
増幅率はオペアンプのオープンループゲインが充分に高い場合、以下の式で近似されます。

増幅率 ≒ R1/R2 + 1

非反転アンプは、入力インピーダンスを高くできるという大きなメリットがあります。
但し、過大入力によりトラブルが発生する可能性や、
大きな同相入力に考慮が必要など、注意点もあります。


(ロ)反転アンプ

反転アンプも基本的な使い方ですね。実際にはこちらの方が使われている機会が多いかもしれません。
−INから入力された信号を増幅して逆極性でOUTから出力します。
増幅率はオペアンプのオープンループゲインが充分に高い場合、以下の式で近似されます。

増幅率 ≒ R1/R2

反転アンプは、入力インピーダンスを低く一定に保てるという特徴があります。
また、過大入力に強く、大きなスルーレートを実現しやすいなど、実用にあたってのメリットもあります。


(ハ)差動合成アンプ

差動合成アンプは前記の(イ)と(ロ)をあわせたような、所謂バランス入力が可能な使い方です。
+INと−INから入力された信号の差を増幅して+INと同極性、−INと逆極性でOUTから出力します。
特に理由がない限り R1=R3 、R2=R4 で使います。

増幅率 ≒ R1/R2 = R3/R4

差動合成アンプでは+INと−INの差が増幅されるため、+INと−INの信号が逆極性で同じ大きさの場合、
設定した増幅率の倍になって出力されたように見えることに注意しましょう。
例えば、増幅率2倍で+1Vと−1Vを入力すると、差である2Vを2倍にするため出力は+4Vになります。

この回路は+IN(ホット)、−IN(コールド)のライン間でインピーダンスのアンバランスを生じます。
そのため使い方によって信号対地電圧か信号電流がライン間で不均衡になることに注意が必要です。

ローインピーダンス出力の信号を受ける場合には特に問題には成らないので、
神経質になる必要はありませんが知っておいても良いことだと思います。

差動合成アンプには同相入力除去(CMRR)など、オペアンプの最大の特徴ともいえるメリットがあります。


(二)バッファーアンプ + 差動合成アンプ

差動合成アンプに非反転の増幅率1倍のバッファーアンプを追加した回路です。
バッファーアンプのインピーダンス変換の力で、
+IN、−INのライン間のインピーダンスがアンバランスになることを防ぐことができます。
増幅率の計算式は(ハ)と同じです。

但し、高利得(高い増幅率のこと)では、これよりもずっと優れた計装アンプという方法があります。


(ホ)差動出力アンプ

差動出力アンプは+IN、−INからの入力信号の差を増幅し、差動信号として出力します。
U1はU2の出力を、U2はU1の出力を、それぞれ相互に負帰還の基準点とする構造になっているため、
入力信号に不平衡があったとしても、それを平衡信号に近づけて出力する性質があります。
高利得になるに従って、この性質は強まります。
特に理由がない限り R1=R2 で使います。

増幅率 ≒ (R1/R3) × 2 + 1


(ヘ)インスツルメンテーションアンプ(計装アンプ)

差動出力アンプと差動合成アンプを合体させた3つのオペアンプで構成された回路です。
インスツルメンテーションアンプ、和名で計装アンプと呼ばれるものです。

高い同相除去能力、ハイインピーダンス入力が可能な構造、
入力伝送路にアンバランスを生じない、など、とても優れた能力を持ってます。

低利得で使うと(二)の回路と大差無くなってしまうことや、
低インピーダンスラインに使うとセッティングによっては(ハ)のほうが音が良いこともあったりするなど、
オーディオ的な使いどころにはちょっとしたポイントがあります。
非常に優れた回路ですが、万能という訳では無いです。
どんなセッティングが自分の用途に合っているのか探究してみるのも一興でしょう。

増幅率は差動出力アンプと差動合成アンプを掛け合わせたものになります。
特に理由がない限り R1=R2、R4=R5、R6=R7 で使います。

増幅率 ≒ ( (R1/R3) × 2 + 1 ) × ( R6/R4 )

差動合成アンプと同様に、+INと−INのふたつの入力信号の電位差を増幅率倍した信号が出力されることに注意しましょう。


【 ALP−mkII の計装アンプの使い方 】

アリス  「さて、ALP−mkIIで計装アンプを使う際には下図のようにします。
      (初段ディスクリート回路は省略してあります。)
      IC11(双回路オペアンプ)を実装し、ジャンパーピンを接続します。
      JP15とJP16をINAからDRCに切り替えることで、

      計装アンプモードから差動合成アンプモードへと簡単に切り替えることができます。」

みみずく 「差動合成アンプモードはバランス入力のラインプリアンプなどで、
      計装アンプモードはMCヘッドアンプ兼RIAAフォノイコライザーアンプや
      磁気テープ再生用NABイコライザーアンプなどでバランス入力をするときに大活躍しそうだな。
      ちなみに全体の増幅率の変更は下図では “ 1F ” の変更で行うと効率が良い。」


 

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