【 AL3886FMC : チューニストの部屋 】
アリス 「サウンドチューニングを生業にする人を海外ではチューニストと呼ぶそうです。
国内でもそのように呼称したり名乗ることが増えてきているようです。
というわけで、ここはチューニストの部屋です。
AL3886FMCを使いこなすうえで役に立ちそうなことを書いていけたらいいなと思います。」
アリス 「B&W(Bowers & Wilkins バウワース アンド ウィルキンス)の 802 Diamond のオーナから
共同研究の協力を得られることになりました。
ありがたいですね。感謝。
さっそくAL3886FMCを持ち込みました。」
アリス 「さすがは銘機 B&W 802D いきなりものすごい音を出してきます。
まだ上があるとはオーナーの言ですが、
貧相なスピーカーしか所有していないわたしからすると、まさに驚天動地の音質です。」
アリス 「さて、さっそくチューニングしてみることにしましょう。
接続はこのようになってます。
802DはLow(ウーファー)は直結で、Hi(ツイーター)とMid(スコ―カー)にはネットワーク回路が入っている構造です。」
アリス 「802Dの性格(?)は、アンプのちょっとしたセッティング変更(定数変更など内部調整)で
おそろしく音質が変わるセンシティブなもので、
さすがというべきか気難しいというべきか、とにかく繊細な調整が求められます。
(もちろんアンプ以外の要素にも敏感な反応を見せます。)
こんなに敏感に反応するとは、図体の大きさからはちょっと想像も出来ないですが、
音質変化の幅が大変に広くて驚きました。
チューニングでノイローゼになれるレベルかと。」
アリス 「ディスカッションと食事とお茶とオヤツを挟みながら実験を繰り返したところ、
802Dにとっては、現状のCSFはセンシング感度が高すぎることがわかったので後日再セッティングすることにしました。
そこでCSFレベルを0としてNFBのみを調整して実験を続けました。
いわゆる普通のアンプの状態ですね。これも有益なデータが取れました。
暫定の結論 : NFBレベルは7〜8が802Dには好適
このセッティングなら片ch数十万円の市販モノアンプを凌駕できる充分に魅力的な音質です。
AL3886FMCはとても優秀なコでしたよ♪
これよりも負帰還を増やすとトランジェント制御が効きすぎて鳴りが悪くなります。
また、これより減らすと高調波ノイズが目立ちます。面白いですね。
この実験から察するに、どんなアンプでもスピーカーにあわせてチューニングすることは、
いい音を得るために、とても重要なことだと感じました。
アンプとスピーカーの相性を語るのはその後でも間に合います。」
アリス 「それにしても、やはり、いいスピーカーは素晴らしいです。
ほしいなー。
さらに試してみたいことも出てきたのでもっと頑張ってみましょう。」
再セッティング後(パーツリストに反映済み)
アリス 「前回のテストではB&W 802D についてはCSFの調整が思うように出来なかったので、
CSF回路の安定性やセンシング感度のセッティング変更を行いました。
結果は非常に良かったです。
NFBとCSFを相互に調整することで音の表情や重心をコントロールすることが可能になりました。
他にレギュレーターのチューニングを全面的に見直したことでS/N感と解像度がさらに向上しました。
それと、もうひとつ。
以前から開発を進めていたディスクリートオペアンプのOPAL845を
AL3886FMCの入力バッファーアンプとして初投入しました。
OPAL845のチューニングに少々時間がかかりましたがとても良いものになりました。
ノリのよい音調でS/N感、高域の伸びなど多くの面でICオペアンプを上回っています。
良い結果が出て良かったです。」
今回のセッティング : NFBレベル6 & CSFレベル2
アリス 「今回のセッティングではB&W 802Dは上質でセクシーな音を聴かせてくれました。
パワー、上質、官能を併せ持つ高級車の様な豊かで素敵な音でした。
802DとAF3886FMCでは暴れ馬の様な音を出すことも出来ますが、こういう音もとてもいいと思います。」
つづく